20世紀・シネマ・パラダ イス

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     地上より永遠に
     From Here to Eternity
     監督:フレッド・ジンネマン
     (1953年/アメリカ)
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 軍隊の腐 敗した一面を描いたアカデミー賞受賞作品

 1941年、ハワイのスコフィールド米軍基地。前の部隊で首席ラッパ手だったプルーイットが、伍長から上等兵に格下げされて転属して来た。
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 優秀なボクサーでもあったプ ルーイットは、中隊長のホームズ大尉から、ボ クシング部に入れば下士官(伍長以上)に昇進させると誘われた。しかし、練習相手を失明させてから、ボク シングをやらないと誓っていたプ ルーイットは誘いを断り、大尉の機嫌を損ねてしまった。見かねたウォーデン曹長がプルーイット を説得したが、彼は意見を曲げなかった。
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 ホームズ大尉夫人のカレンは評 判の美人だが、夫婦の関係は冷えきっていた。
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 中隊のボクシング部は、ミドル級のプルーイットが加われば優勝を狙えるチームだった。優勝 すれば、大尉は少佐に昇進し、部員には10日間の特別休暇が付与される。ボクシング狂の大尉のおかげで下士官となっていた部員たちが、プルーイットを不当 にしごき始めた。
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 ウォーデン曹長は、大尉が不在の時間を見計らって大尉の自宅を訪ね、カレンと愛し合うよう になった。
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 『地上より永遠に』 予告編



  主な出演者など

ウォーデン曹長役
バート・ランカスター
カレン役
デボラ・カー
プルーイット役
モンゴメリー・クリフト
Burt_Lancaster Deborah_Kerr
Montgomery_Clift

マジオ役
フランク・シナトラ
ロリーン役
ドナ・リード
ジャドソン 軍曹役
アーネスト・ボーグ ナイン
Frank_Sinatra Donna_Reed /Ernest_Borgnine

 ・大ベストセラー小説「地上より永遠に」(1951年/ ジェームズ・ジョーンズ著)の映画化作品。それまで聖域とされていた軍隊内部の腐敗した一面を初めて描き、ハリウッドの良心を示したとされ る社会派作品で、大ヒットを記録した。
 (右の写真)左から、フランク・シナトラ、モンゴメリー・クリフト、デボラ・カー、バート・ランカスター、ジェーム ズ・ジョーンズ、フレッド・ジンネマン
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 ・第2次世界大戦中、陸軍通信隊の中尉として活躍した映画製作者のバディ・アドラーが交渉 し、必要不可欠だった米軍の協力を得ることが出来たが、米軍からの要請と映画倫理規定により、小説の内容を変更せざるを得ない箇所があった。そのため、原 作者の ジェームズ・ジョーンズは、映画が清潔過ぎると不満だったとも言われている。
 (左の写真)モンゴメリー・クリフト
 * バディ・アドラー … 1955年、20世紀FOX社に製作部長として招かれ、『慕情』(1955年)、『バス停留所』(1956年)等を製作。アービング・G・タルバーグ賞 (1957年)、セシル・B・デミル賞(1958年)を受賞した。

 ・小説では、ロリーンは売春婦で、カレンはホームズ大尉から性病を感染させられて不妊 者となったという設定。軍隊内での同性愛の描写は全てカットされ、マジオが営倉内で虐待されるシーンは映像化されなかった上、トラックの荷台から落ちたこ とが致 命傷となったとも思われる台詞が用意された。
 (右の写真)バート・ランカスター
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 ・バート・ランカスターとデボラ・カーの浜辺でのキス・シーンは、映画史に残る名ラブ・ シーンとなった。撮影場所は人気の観光スポットとなり、『七年目の浮気』(1955年)等、多くの作品でパロディー化されたが、このシーンも映倫によって短くカットされたらしい。
 (左の写真)バート・ランカスターとデボラ・カー

 ・アカデミー賞では、12部門で13のノミネーション。
 作品賞、監督賞、助演男優賞、助演 女優賞、脚色賞、撮影賞(白黒部門)、編集賞、録音賞の8部門で受賞。『風と共に去りぬ』(1939年)に 並ぶ最多受賞記録(当時)を打ち立てた。
 (右の写真)アカデミー賞授賞式にて。左から、フレッド・ジンネマン、ドナ・リード、バ ディ・アドラー(製作者)、ダニエル・タラダッシュ(脚本家)
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 ・演技賞部門では、主演男優(バート・ランカスターとモ ンゴメリー・クリフト)、主演女優(デボラ・カー)、助演男 優賞(フランク・シナトラ)、助演女優賞(ドナ・リード)と 4部門で5人がノミネート。4部門全てで候補者を出したのは『ミニヴァー夫人』(1942年)以来、5人の候補者が選出されたのは 『イ ヴの総て』(1950年)以 来の快挙だった。
 (左の写真)左から、モンゴメリー・クリフト、バート・ランカスター、フランク・シナトラ

 ・ダブル・ノミネートとなった主演男優賞は、米軍基地で長時間の訓練を受け、ボクシングや トランペットを習うなど役作りに励んだモンゴメリー・クリフトが本命視されていたが、コロンビア社がバート・ランカスターの方をプッシュし、共倒れとなっ た。受賞したのは『第十七捕虜収容』ウィリアム・ホールデンだった。
 (右の写真)モンゴメリー・クリフト
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 ・人気が落ち目だったフランク・シナトラが、マジオの役を得るためにマフィアの手を借りた という 有名なエピソードがあるが、実際は、当時の妻エヴァ・ガードナーがコロンビア社の社長ハリー・コーンに猛プッシュをした結果とも言われている。シナトラは、「他の誰よりもモンゴ メリー・クリフトから演技について多くのことを学んだ」と語っている。
 (左の写真)アカデミー賞授賞式にて。フランク・シナトラ、ドナ・リード

 ・AFI(アメリカ映画協会)が1998年に選定した 「アメリカ映画100年ベスト100」で第52位。2002年に選定した「愛と情熱のアメリカ映画ベスト100」で第20位にランクイン。
 (右の写真)デボラ・カー(左)、ドナ・リード
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