20世紀・シネマ・パラダ
イス
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メトロポリス
Metropolis
監督:フリッツ・ラング
(1927年/ドイツ)
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◆ 何年経っ
ても色褪せないSF映画の古典的名作
摩天楼がそびえ立つ未来都市メトロポリス。その地下深くには巨大な工場と労
働者の街がある。労働者たちの姿はまるで囚人のようでもある。 |
一方、地上は資本家や知識人など富裕層の街。摩天楼の最高層には支配的特権階級の人々が暮
らしていた。そんな最高層の一画に作られた人工の楽園では、メトロポリスの支配者ジョー・フレーダーセンの
息子のフレーダーが、今日も遊女たちと戯れていた。 |
そこへ、労働者階級の子供たちを連れた女性が迷い込んで来た。フレーダーはその女性を一目
見て、心を奪われてしまった…。 |
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女性を追って地下へ降りたフレーダーは、機械室の爆発事故に遭遇した。一旦地上に戻り、父
親に事故の報告をしたフレーダーは、再び地下へ降りて、過労で倒れた労働者に代って働きはじめた…。
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フレーダーセンは、事故現場で発見された謎の地図を判読するため、発明家のロートヴァングを訪れた。
ロートヴァングは、亡くなったフレー
ダーセンの妻のヘルに生き写しの機械人間を作っていた。ロートヴァングもヘルを愛していたの
だった。
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地図の場所が地下深くにあるカタコンベ(地名)であることを判読し、フレーダーセンとロー
トヴァングはカタコンベに向かった。
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労働が終わったフレーダーもカタコンベの集会へ向かった。そこにいたのはあの女性だった。
彼女の名はマリア。労働者たちが信仰する聖女のような存在である。マリアは、バベルの塔建設の
神話を引き合いにして、「頭脳(=知識階級)と手(=労働者階級)の媒介者は心でなくてはならない」と語り、その媒介者はきっと現れると説
いた。
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集会の後、フレーダーはマリアに声を掛けた。
マリア 「あなたが媒介者なのか?」
フレーダー 「あなたに呼ばれたから来た」。
マリアはフレーダーが媒介者であると確信した。2人は
明日、大聖堂で再会することを約束して別れた。
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集会の様子を一部始終覗き見ていたフレーダーセンは、マリアの存
在を危険視し、労働者たちがマリアに寄せる信仰を破壊するために、機械人間にマリアの顔を与えるようロートヴァングに命じ
た。
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ロートヴァングは恋敵であるフレーダーセンへの復讐を思いついた。機械人間にマリアの顔を
与えればメトロポロスを破壊することも出来る…。マリアはロートヴァングに捕らえられてしまった。
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翌日。マリアが現れず、失意のフレーダーがロートヴァングの屋敷
の前を通りかかると、助けを求めるマリアの声が聞こえてきた。フレーダーは屋敷に侵入したが、マリアのもとへ辿り着けない。
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機械人間マリアは人々を狂気へ誘う魔力を備えていた。
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ロートヴァングの指示を受けた機械人間マリアは地下へ降りていき、「媒介者は現れな
い。地下の機械を壊せ」と労働者たちを煽動した。
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地下へ駆けつけたフレーダーが、マリアは偽物であると訴えたが、支配者の息子である彼の言
葉は労働者たちから信用されなかった。
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ロートヴァングの裏切りに気付いたフレーダーセンが彼と格闘。捕
らわれていたマリアは解放され、急ぎ地下へ向かった。
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機械人間マリアに煽動され、暴徒と化した労働者たちは、機械の心
臓部に突入し、そこを破壊してしまった。
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労働者たちが、そうとは知らずに機械の心臓部を破壊したため、地下街が浸水し始めた。
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労働者の子供たちが水没の危機に陥ったが、再会したフレーダーとマリアが子供たちを地上へ
と避難させた。
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暴動の熱狂から覚めた労働者たちは、街が水没したと知り、煽動したマリアを魔女とみなして
魔女狩りへと動き出した。本物のマリアが危うく捕まりかけたが、間一髪逃れた。そして、機械人間マリアは捕まり、火炙りに処された。
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本物のマリアがロートヴァングに捕まってしまった。それに気付いたフレーダーが2人の後を
追いかけるが…。
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◆ 主な出演者など
マリア役 |
フレーダー役 |
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ブリギッテ・ヘルム
Brigitte Helm |
グスタフ・フレーリッヒ
Gustav
Fröhlich |
ロートヴァング役 |
フレーダーセン役 |
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ルドルフ・クライン=ロッゲ
Rudolf
Klein=Rogge |
アルフレッド・アベル
Alfred Abel |
・戦前のドイツ映画界の第一人者フ
リッツ・ラング監督が、ドイツ映画史上最高額とも言われる巨費を投じて完成させた超大作。
ラング監督がニューヨークの摩天楼を見て着想し、当時の妻テア・フォン・ハルボウが脚本を執筆した。
(右の写真)手前右がフリッツ・ラング監督 |
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・アドルフ・ヒトラーのお気に入りの作品だったと言われている。
ヒトラー政権が成立(1933年)すると、母親がユダヤ人だったラング監督はフランスへ逃亡。
本作でデビューした主役のブリギッテ・ヘルムはナチスを嫌い、スイスへ引っ越して映画界から引退した。
(左の写真)撮影時のブリギッテ・ヘルム |
・1984年、イタリアの音楽家ジョルジオ・モロダーが新たにサウンドトラックを加えて再
編集した『モロダー版メトロポリス』を公開した。
* ジョルジオ・モロダー :
『フラッシュ・ダンス』(1983年)の主題歌「ホワット・ア・フィーリング」、『トップ
ガン』(1986年)の主題歌
「愛は吐息のように」で2度アカデミー賞歌曲賞を受賞。 |
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・『モロダー版メトロポリス』で主題歌を担当したのが、伝説のロックバンドQUEENのフ
レディ・マーキュリー。
QUEENの大ヒット曲「RADIO GAGA 」
のPVにも、『メトロポリス』の映像が使用されている。 |
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『メトロポリス』フ
レディ・マーキュリー“Love Kills” … モロダー版の主題歌
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サイレント期のドイツ映画界が生んだ、100年経っても色褪
せないSF映画の金字塔
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