20世紀・シネマ・パラダ
イス
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一日だけの淑女
Lady for a Day
監督:フランク・キャプラ
(1933年/アメリカ)
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◆ キャプラ
スクが見事に開花したメルヘン・ムービー
ブロードウェイの街角でリンゴを売っている初老の婦人アニー。
ギャングのデーブは、アニーのリンゴを買うと‟ツキが来
る”と信じており、今日もアニーからリンゴを買った。
仕事が終わったアニーが向かった先は高級ホテル・マーベリーの従業員通用口。顔見知りのオスカーか
ら、いつものように内密でホテルの便箋を買った。 |
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アニーの一番の楽しみは、スペインで暮らしている最愛の一人娘に手紙を書くこと。ホテルの
便箋に、「先日は、侯爵の為にパーティーを開き、大成功だった…。医者から船旅はムリだと言われた…。お義父さんはスペインへ行くつ
もりだったが…」などとウソの便りを書くアニー。全ては愛する娘に心配をかけたくない親心からであった。 |
娘からの手紙がホテル気付で届く日。ところが、頼りのオスカーがクビになっていた。内密の
仕事が発覚した為だ。
アニーはフロントへ行き、手紙を渡してくれと直訴した。フロント係と一悶着あったが、手紙が返送ポストに入れられる直前に何とか手に入れることができ
た。 |
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娘からの手紙を読むアニー。
「手紙が届く頃は、ニューヨーク行きの船の中です。恋人のカルロスと彼の父親ロメロ伯爵が一緒です…。伯爵は結婚を認め
る前に、お母さんとお義父さんに会いたいそうです…」。
さぁ、大変。これまでのウソがバレてしまう。アニーは思わず道端に倒れ込んでしまった。 |
アニーはホテルに引き返し、支配人に訴えた。「私は先週死んだと伝えて…。盛
大なお葬式で…。夫は悲しみに暮れて旅に出た…」。
しかし、アニーの訴えは聞き入れられず、彼女は警官に連れ出されてしまった…。 |
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デーブは近頃姿を見かけないアニーを捜させていたが、部下が言うには、ブロードウェイの
街角には、アニーは勿論のこと、他の物売りたちも誰一人として見当たらないということであった。
そこへ、アニーの仲間の物売りたちがデーブを訪ねて来た。アニーが困っているので助けを求めに来たのだ。
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デーブが訪ねてみると、アニーは絶望のあまり昼間から酒を飲み酩酊状態だった。
娘からの手紙を読み、事の次第を理解したデーブだが、どうしようもないので、小遣いだけ置いて立ち去った…。
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デーブがアニーのために動き出した。まずはホテルの部屋を借り、馴染みのナイト・クラブの
歌手に頼んで、洋
服屋や美容師などを連れて来させた。アニーを即席の貴婦人に仕立てようという考えだ。
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社交界の令夫人・マンヴィル夫人に変身したアニーの登場!あまりの変貌
ぶりにデーブもビックリ。
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アニーの夫役として白羽の矢を立てられたヘン
リー判事。「アップル・アニーの亭主役なんてあんまりだ」
とおかんむりだったが、変身したアニーを一目見た途端に…。
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娘たちの船が到着する日。デーブは港に部下を集め、邪魔が入らぬようにガードを固めた。ロ
メロ伯爵を取材しに来た新聞記者は、デーブの部下に捕まり追い返さ
れてしまった。アニーと娘のルイーズは数年ぶりに再会した。
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厄介な問題な次々と起きた。ロメロ伯爵が
マンヴィル氏の友人に会いたいと言いだし、2日後にパーティーを開くことになった。また、マンヴィル夫人を取材しに来た新聞記者がデーブの正体に気付き、
デーブは記者を拉致した。
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アニーは若い2人を祝福したが、形式を重んじるロメロ伯爵は何かおかしいと感じて、パー
ティーが終わるまで結婚を許可しないと言い張った。
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3人もの新聞記者が行方不明となり、警察署長は勿論、市長も事件の進展を見守っていた。
そこへ、港でデーブの部下に追い返された新聞記者が証言に現れ、警察は総動員でデーブを見張ることになった。
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デーブは仲間を集め、パーティーに向けて上流階級のマナーを特訓中だった。
いよいよパーティーの晩。デーブたちは会場へ向かおうとしたが、大勢の刑事たちが見張っていて身動きが取れなくなった。
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パーティーの開始時間は8時。しかし、9時を過ぎても客は誰一人としてやって来ない。焦燥
するアニー。疑念を膨らますロメロ伯爵…。
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デーブは警察署に乗り込み、最後の手段として司法取引を持ち掛けた…。
ナイト・クラブで待機していた部下たちのところへ、デーブから電話が入った。「今日の行動は中止だ 」。
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アニーのもとに、不安になったルイーズが事情を尋ねに来た。アニーは覚悟を決め、ロメロ伯
爵
の元へ真実を話しに向かったが…。
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◆ 主な出演者など
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アニー役 …
メイ・ロブソン May Robson
デーブ役 …
ウォーレン・ウィリアム Warren William
ヘンリー判事 (マンヴィル氏)役 … ガイ・キビー Guy
Kibbee |
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・アカデミー賞の作品、監督、主演女優、脚色の4部門でノミネートされた。監督賞発表の際
に、司会のウィル・ロジャースが、「フランク …(間をおいて)、フランク・ロイド」と発表。最初の
「フ
ランク」
で自分が受賞したと確信したキャプラ監督は舞台へ向かって歩き出したが、勘違いだと気付き、「もう2度と授賞式には出席しないだろ
う」と思ったというエピソードも。
(左の写真)出演者一同とキャプラ監督(手前カメラの横)
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・『一日だけの淑女』は無冠に終わったが、キャプラ監督は翌年、『或る夜の出来事』で主要5部門の制覇という快挙を成し遂げた。
尚、フランク・ロイド監督は、キャプラ監督の前任のアカデミー協会会長でもあった。
(右の写真)
左から、ウォーレン・ウィリアム、メイ・ロブソン、ネッド・スパークス。ラジオ番組で、『一日だけの淑女』を再演した時。 |
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・キャプラ監督は本作をリメイクした『ポケット一杯の幸福』(1961年)を撮ったが、それが自身最後の劇場用映画となった。
(左の写真)『ポケット一杯の幸福』 ベティ・デイ
ヴィス |
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