20世紀・シネマ・パラダ
イス
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カリガリ博士
Das Cabinett des Doktor Caligari
監督:ロベルト・ヴィーネ
(1920年/ドイツ)
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◆ ドイツ表
現主義が生み出した不思議な世界
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カ
リガリ博士は、眠り男(=夢遊病者)チェザーレを操って、次々に殺人を犯してい
くが…。 |
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冒頭
フランシス 「ぼくと婚約者のジェーンは恐ろしい体験をした。今からそれを話してあげよう…」。
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以降、フランシスの回想としてストーリーが展開していく )
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最初の殺人
事件
フランシスの故郷の村ではお祭りが開催されていた。そこへ現れた「カリガリ博士」と名乗る男。お祭りでの営業許可をもらいに役場
へ行ったが、役場の係官はぞんざいな対応をした。その夜、役場の係官は何者かに殺害された…。
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第2の殺人事件
フランシスは親
友のアランとお祭りへ行き、カリガリ博士の見世物小屋へ入った。
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カリガリ博士が命令すると、夢遊病者のチェザーレが25年間の眠りから目覚めた。 カ
リガリ博士 「チェザーレは何でも見通すことができる」。 アラン 「ぼくの寿命は?」。 チェ
ザーレ 「夜明け前までに死ぬ」。
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翌朝。フランシスのもとにアランが殺害されたとの知らせが届いた。
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第3の殺人未遂事件
村で第3の殺人未遂事件が発生。助けを求める声に気付いた人々により犯人が捕らえられた。
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フランシスはアランの殺害事件に疑念を抱き、警察の許可を得て、
ジェーンの父親と一緒にカリガリ博士の小屋を取り調べに行っていた。
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連続殺人犯逮捕の報せを聞いたフランシスとジェーンの父親は、急
ぎ警察署へ駆けつけた。
捕らえられた男は、お婆さんを殺そうとしたが、前の2件の殺人事件とは無関係だと主張した。
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その頃、父親の帰りが遅いので心配になったジェーンは、カリガリ博士の小屋を覗きに行った
が、チェ
ザーレ
を見て恐ろしくなり、逃げ帰った。
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ジェーンが襲われる
フランシスはカリガリ博士の小屋を見張り続けていた。カリガリ博士は、ジェーンが自分を疑っている男の
娘と知り、チェザーレに殺害を命じた。
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チェザーレはジェーンの寝室に忍び込んだが、彼女に心奪われ、殺害せずに外へ連れ出した。
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村の人々が異変に気付いた。村人たちが追跡している途中でチェザーレは命を落とした。
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ジェーンから事の次第を聞かされたフランシスは驚いた。何故なら、彼はその時刻、カリガリ
博士の横で眠っているチェザーレを見張っていたからだ。
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フランシスは警察官と一緒にカリガリ博士の小屋へ乗り込んだ。小屋で眠っていたチェザーレ
は替え玉の人形だった。カリガリ博士が隙をみて逃げ出し、フランシスは後を追った。博士が逃げ込んだ先は精神病院だった…。
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カリガリ博士の正体
フランシスは病院の職員に事情を話し、院長室へ案内してもらった。すると、院長席に座っていたのは、何とカリガリ博士だった。茫
然とするフランシス…。
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院長(カリガリ博士)が眠っている間に、フランシスと病院の職員
は、院長の秘密の研究書類を発見した。
研究書類を読み進むうちに、院長が11世紀に存在したとされるカリガリなる人物と夢遊病者の研究をしていたことが判った。
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更に、この病院に夢遊病
患者(チェザーレ)が収容されてからの臨床記録も出てきた。
院長は研究を進めるうちに精神に異常をきたしてしまったのだった。
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病院にチェザーレの遺体が運ばれて来た。それを見た院長は発狂し、職員たちに取り押さえら
れた。これで一連の連続殺人事件は一件落着。ところが・・・。
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◆ 鑑賞メモ
・当時のドイツにおいて、様々な芸術分野で流行していた表現主義を取り入れた最初の映画で
あり、その代表作。
背景やセットはすべてデフォルメされており、観る者を不思議な世界、不安な世界へと誘う。
(右の写真)カリガリ博士の小屋 |
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・製作者のエリッヒ・ポマーか
ら監督を打診されたフリッツ・ラングはスケジュール的に無理だったため辞退したが、最後の
どんでん返しを取り入れたのはラングだとされている。
全ては精神異常者の妄想の世界であったという設定により、表現主義による歪んだ背景やセット、カリガリ博士やチェザーレのどぎついメークなどが、より生
かされることとなった。 |
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