20世紀・シネマ・パラダ
イス
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自由を我等に
A Nous La Liberte
監督:ルネ・クレール
(1931年/フランス)
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◆ 第1回
ヴェネツィア国際映画祭で大賞を受賞
刑務所で相部屋のルイとエミールは気の合う同士。2人は着々と準備を進めてきた脱獄を決行したが、途中で看守に見つかってしまっ
た。エミールは脱獄を諦め、ルイだけでも逃げられるように計らってやった。 |
娑婆に出たルイは、初めのうちこそ窃盗などを犯していたが、資金が貯まると蓄音機の露天商
を始めた。これが当たり、やがて自分の店を持ち、ついには大きな工場を持つ蓄音機製造会社の社長にまで成り上がった。 |
一方のエミールは、漸く出所したのも束の間、再び拘置所に放り込まれた。世をはかなんで首
を吊ろうとしたところ、運よく外へ
脱出出来た。そして、町で一目惚れしたジャンヌの尻を追いかけているうちに、彼女と同じ工場で
働くことになった。 |
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工場の流れ作業がエミールのミスで大混乱に。
ジャンヌに想いを寄せている現場監督との間ですったもんだもあり、エミールは持ち場を逃げ出した。
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エミールが逃げ込んだ先はお偉方のオフィスビル。ちょうどその時、社長が大勢の部下を引き
連れて階段から降りて来た。
変装のためメガネを掛け、口髭を生やしているがルイに間違いない。
エミールは懐かしのあまり声を掛けたが、ルイは知らんぷり。過去が明らかになる事を恐れたのだ。
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ルイは人目を憚り、エミールを個室に連れ込んだ。
ゆすられると思い込んでいたルイは、ピストルを向けたり、口止めの大金を渡そうとしたりした。しかし、エミールにはそんな気は毛頭ない。誤解が溶けた2
人は再会を喜びあった。
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新工場完成の前夜。かつて刑務所内で一緒だった男が、仲間のギャングを連れてルイの自宅に
乗り込んで来た。
ルイは、過去をバラされたくなければ全財産の半分を寄こせと脅された。
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その頃、エミールはジャンヌの家の前。
彼女が恋人と手を振り合うのを見て、叶わぬ恋であったことに気づいていた。
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ギャングたちを連れて会社に来たルイは、彼等をまんまと個室に閉じ込め、金庫の札束をトラ
ンクに移し入れた。
しかし、警官に追われたエミールが駆け込んで来て、ギャングたちが閉じ込められている個室の扉を開けてしまった。
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会社の中でギャングと警官隊が入り乱れての大捕物となり、札束の詰まったトランクが屋根の
上に放置された。
ルイは正体が明かされるのを覚悟の上で、ギャングたちを警察に引き渡した。
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新工場の落成式。来賓の中に混じって刑事たちが張り込んでいた。ルイは新工場を社員に贈呈
し、自分は引退して別の道を歩むとスピーチした。
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その時、天候が急変し、嵐となった。屋根の上のトランクが強風に煽られ、札束が上空に舞っ
た。式典会場は大混乱に。その隙に、ルイはエミールと共に逃げ出した。刑事たちがルイを追い掛けるが…。
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◆ 主な出演者など
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ルイ役
レイモンド・コルディ Raymond Cordy
エミール役
アンリ・マルシャン Henri
Marchand
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・トーキー初期のフランスの巨匠ル
ネ・クレールの傑作コメディ。
第1回ヴェネチア国際映画祭で最高作品賞 (現在の金獅子賞)を受賞。また、外国語映画としては初め
てアカデミー賞にノミネート(室内装置賞)された。 |
『自由を我等に』の製作会社トービスが、盗作だとしてチャップリンを告訴したが、ルネ・クレール監督が、「私の映画が偉大なチャップリン氏に影響を
与えたのなら光栄なことだ」
と声明を発表して、告訴は取り下げられた。工場のベルトコンベアーの流れ作業で、一人がミスをして混乱を招くシーンや、ラストシーンなどが類似していると
指摘されている。
(右の写真) 『自由を我等に』 のラストシーン
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