20世紀・シネマ・パラダ
イス
◆ 愛に殉じ
た美しき女スパイ
1915年のウィーン。夜の街角で、自殺した仲間の娼婦を見送りながら、「私は生も
死も怖くない」と呟く女。ある男がその女に声を掛け、2人は女の部屋へ。男「自分はある国のスパイだ、楽に稼
がないか?」。女は買物へ行くふりをして警官に通報し、男は連行された。 |
翌日。女は警察の命令によりオーストリア帝国陸軍に出頭。案内さ
れた部屋には昨夜の男がいた。 |
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男の正体は軍の秘密諜報部長。昨夜は女の愛国心を試すため、かま
をかけたのだった。女が戦死した軍人の未亡人であることまで調査済みで、女はスパイになることを打診された。「恥にまみれて生きてきた、愛する祖国
の為に、名誉ある死に方ができるのなら本望だ」。女はスパイの任務を引き受けた。 |
女はX27と
名付けられた。最初の任務は、敵国ロシアに内通しているヒンダウ大佐の証拠を掴むこと。X27は仮装パーティーでヒンダウ大
佐に近づき、彼の自宅に招かれた。 |
諜報部長が電話で大佐を引き付けている間に、X27は
秘密文書を探し出した。大佐の家の周りには諜報部員たち
が待機している。秘密文書を取られ、もう後がな
いと察した大佐はピストルで自ら命を絶った。 |
X27は、大佐に煙草(秘密文書)を渡した将校をギャンブル
場で見つけ、声を掛けて誘い出した。
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X27の合図で諜報部員たちが将校の後を追ったが、将校は彼
等をまいて姿をくらました。
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報告を受けた諜報部長は、その将校が上手で、経験不足のX27に
は手に余る相手だと判断し、別の任務を与えた。
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将校がX27の家に侵入し、彼女が別室でピアノを弾いている
間に、彼女の次の任務を盗み読んだ。X27が部屋に入って来ると、将校は強引に唇を奪った。
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電話線は既に切られており、ピストルの弾も抜かれていた。将校はロシアのクラノウ大佐だと名乗り、正体が暴かれたのでウィーンからは去ると言い残し、
去っていった。
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X27は次の任務のためポーランドへ飛んだ。召使いに変装
し、国境近くにあるロシア軍司令部に潜入したX27は、言い寄ってきた将校を手玉に取り、酔い潰した。
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X27がロシア軍の攻撃計画を楽譜に暗号化している間、クラ
ノウ大佐はX27が潜入していることに気づいた。部屋の扉がノックされ、X27は窓から脱出し
たが、衛兵に捕まってしまった。
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クラノウ大佐はX27の所持品から
楽譜を発見し、ピアノで演奏したが、暗号を解読することは出来ず、楽譜を燃やしてしまった。
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スパイは捕まれば死刑だ。最後の望みを問われたX27は、
「あなたと2人で過ごしたい」と答え、X27に満更でもない感情を抱いている大佐は彼女の望みに応えた。
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X27はペンダントに仕込んであった睡眠薬で大佐を眠らせ、
通行証を偽装して脱出した。
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オーストリア軍に合流したX27は
ピアノに向かい、大佐が弾いたピアノの音色を思い出しながら楽譜(暗号)を再現し、ロシア軍の攻撃計画を暴くことに成功した。
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X27の手柄で、捕えられたロシア兵が連行されて来た。その
中には、あのクラノウ大佐の姿もあった。
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オーストリア軍の取り調べ官が、クラノウ大佐を見てスパイだと気がついた。X27は、
スパイの口を割ってみせると言って、1対1で大佐と向き合ったが…。
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◆ 主な出演者など
・ジョセフ・
フォン・スタンバーグ監督とマレーネ・ディートリッヒの黄金コンビによる第3作目。
当時、私生活においても親密な関係にあったとされる2人。スタンバーグ監督がディートリッヒの為に撮った、彼女の人気絶頂期の作品。
(右の写真) スタンバーグ監督とディートリッヒ |
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・ディートリッヒが召使いに変装するシーンではノーメイク? のスッピン顔を披露。
冒頭とラストでストッキングを直すシーンでは、“百万ドルの脚線美” と称された美脚を意識したサービス・ショットも。 |
・愛する祖国を裏切ってまでも男への愛を貫き、不名誉な(=Dishonored)
死を遂げる美しき女間諜。
ディートリッヒが伝説のスーパースターとなった傑作の1本。 |
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