20世紀・シネマ・パラダ
イス
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大いなる幻影
La Grande
Illusion
監督:ジャン・
ルノワール
(1937年/フランス)
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◆ 戦前の日
本では公開禁止となった反戦映画の不朽の名作
第1次世界大戦下の欧州。フランス軍航空隊のマ
レシャル中尉は、ボアルデュー大尉と共に偵察に飛び立ったが、敵軍ドイツの飛行
隊に撃墜され、捕虜となってしまった。 |
2人はドイツ軍のラウフェンシュタイン大尉の
食卓に招かれ、丁重なもてなしを受けた後、ハルバハの将校捕虜収容所に送られた。 |
収容所で大銀行家一族のローゼンタール中尉などと同部屋になった。彼等は床下に脱走用のトンネルを掘り進めていた。また、捕虜たちは、
慰問品として届けさせた婦人服を仲間に着させたりして、憂さを晴らしていた。 |
トンネルが完成する前に終戦を迎えるだろうとのマレシャルの予想に反し、戦争は長期化。ド
イツ軍はまだ年端もいかない青年たちまで動員していた。 |
捕虜たちの演芸会の日。ドイツに占領されていたデュオモンの地を味方が奪回した事を知った
マレシャルは、舞台に飛び出てその事を皆に告げた。会場はフランス国歌「ラ・マルセイエーズ 」
の大合唱となったが、マレシャルはそのかどで独房に入れられてしまった。 |
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ついにトンネルが完成したが、脱走予定の日に捕虜たちは別の収容所へ移動させられてしまっ
た。マレシャルとボアルデューは行く先々で脱走未遂を繰り返し、脱走が困難なウィンテルスボーンの収容所へ送られた。
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城壁が30メートル以上もある古城を改築したウィンテルスボーンの収容所の司令官は、あのラウフェンシュタインだった。彼は戦場で負傷し、収容所の監視人という立場でしか国家に忠誠を尽くすことが出来ない現在の
境遇を嘆いていた。
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マレシャルは収容所でローゼンタールと再会し、着々と脱走の準備を進めていた。
ラウフェンシュタインは、自分と同じ貴族階級のボアルデューに親近感を抱き、何かと便宜を図っていた。ラウフェンシュタイン 「この
戦争でどこが勝つにせよ、我々貴族階級は最期だ…。残念だと思いませんか」。ボアルデュー 「思います…」。
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マレシャルはボアルデューを脱走に誘ったが、彼は2人の方が安全
だと言って、その誘いを断った。
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ボアルデューが脱走の援護を申し出た。その夜、捕虜たちは笛を吹き、鍋を叩いてのドンチャ
ン騒ぎ。ボアルデューの目論見通り、捕虜たちに総員点呼、内庭へ集合せよとの命令が下された。
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庶民と貴族。階級が異なるためか、心の底から打ち解けることはな
かったマレシャルとボアルデュー
だったが、最後に固い握手をして別れた。
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ボアルデューが城壁の上を歩き周り、ドイツ兵の注意を引き寄せている間に、マレシャルと
ローゼンタールは準備していたロープで城壁の下へ脱出した。
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ボアルデューはラウフェンシュタインの制止の言葉を振り切って逃げ回り、ラウフェンシュタ
インは止む無く発砲した。
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ラウフェンシュタインはボアルデューの足を狙ったが、弾は腹部に命中した。ボアルデューは
ラウフェンシュタインに看取られながら命を落とし、ラウフェンシュタインは手塩に掛けて育てたゼラニウムの花を手向けた。
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ローゼンタールが足を挫いてしまい、食糧も底をついた。マレシャル達は喧嘩をしながらも国
境を目指して逃避行を続けた。ある夜、納屋に身を潜めていた2人は、そこの家主である婦人に見つかり、家へ招かれた。
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婦人の名はエルザ。彼女は戦争
未亡人で、幼い娘と2人暮らし。言葉が十分に伝わらなくとも、マレシャルとエルザは何時しか心を惹かれ合う間柄となった。
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ローゼンタールの怪我が治り、出発の時が来た。別れを嘆くエル
ザ。マレシャルは、戦争が終わって生きていたら戻ってくると告げ、出発した。
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マレシャルとローゼンタールはスイスとの国境付近まで辿り着い
た。
マレシャル 「戦争が終わったらエルザの所へ戻る。こんな戦争はこれが最後だろう…」。
ローゼンタール 「そんなのは君の幻想さ 」。
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国境を監視するドイツ兵が2人を発見し、照準を合わせた…。
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◆ 主な出演者など
・1937年、ナチス・ドイツの台頭などで、第2次世界大戦必至という状況の中で公開さ
れ、世界的に大反響となった。
当時の日本では、反戦思想の危険な映画ということで公開禁止となり、戦後の1949年に初公開された。 |
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・ベネチア国際映画祭で芸術映画賞を受賞。米アカデミー賞では、外国語映画として初めて作
品賞にノミネートされた
(当時は外国映画賞がなかった)。 |
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