20世紀・シネマ・パラダ
イス
◆ ジェーム
ズ・キャグニーがマザコンのギャングを快演
ギャングの一味が列車を襲撃し、機関士など4人を殺害して大金を強奪した。ボスのコーディ・ジャレットは冷酷非情な男であるが、マー(母
親)を溺愛しており、妻のバーナはマザコンのコーディに愛想を尽かしていた。 |
コーディは偏頭痛の発作を伴う精神疾患を抱えていたが、この事は母子間の秘密にされてい
た。 |
コーディは捜査当局に目星を付けられ、危うく捕まりかけた。彼は
列車強盗と同じ日に手下の1人に遠隔地のホテルで窃盗をさせており、その窃盗事件の犯人として自首をした。 |
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コーディが重罪を逃れるために自首したことは明らかだったが証拠がない。当局はコーディが
収監される刑務所に潜入捜査官のファロ
ンを
送り込むことにした。 |
ファロンはコーディと同部屋になったが、コーディは警戒心が強く、なかなか懇意になれずに
いた。
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ギャングの一味はマーが仕切っていたが、ボスの座を狙っているビッグ・エドとバーナが密かに通じる仲になっていた。 |
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『白熱』 予告編動画
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◆ 主な出演者など
・1920年代後半から1930年代にかけてのギャング映画ブームから誕生
した最大のギャング・スターであるジェームズ・キャグニー。ブームが下火となり彼もギャング役から離れていたが、セミ・ドキュメンタ
リー・タッチの犯罪映画『裸の町』(1948年)が大ヒットし、同作を追随するかたちで本作が製作され、
キャグニーも久方ぶりにギャングを演じることとなった。
(右の写真)ラオール・ウォルシュ監督、ジェームズ・キャグニー |
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・当初の脚本ではありきたりのギャングだった主人公をマザコンの精神異常者に仕立てた
のはギャ
グニー本人だったという。ヴァージニア・メイヨ曰く、「ジミーはオスカーを獲得したはずです。しかし、ギャング映画はオスカーを獲得
すべきではないと考える
人たちがいた…」。画面から伝わってくるキャグニーの熱量は、他の俳優たちのそれを圧倒している。
(左の写真)ヴァージニア・メイヨ、ジェームズ・キャグニー
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・監督は最古の長編ギャング映画とされている『Regeneration』(1915年)で名をあげたラオール・ウォルシュ。タンクローリーの追
跡シーンでは、台詞や地図で示される場所と映像を一致させるなどセミ・ドキュメンタリー・タッチの手法
を取り入れ、第一級の娯楽作品に仕上げた。主役のキャグニーとは、『彼奴は顔役
だ!』(1938年)、『いちごブロンド』(1941年)で
も組んでおり、気心の知れた仲だった。 |
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・AFI(アメリカ映画協会)が選定した各種ランキングで以下の通りランクインした。
・「ギャング映画ベスト10」(2008年選出)で第4位。
・「ヒーロー&悪役ベスト100」(2003年選出)でコーディが悪役の第26位。 |
・「名
セリフ・ベスト100」(2005年選出)で、コーディの最後の台詞「やったぜママ! 世界一だ ! Made
it, Ma ! Top of the World !」
が第18位。 |
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