20世紀・シネマ・パ ラダ イス

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        紳士協定
         Gentleman's Agreement
          監督:エリ ア・カザン
         (1947年/アメリカ)
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  反ユダヤ主義を告発してアカデミー賞を受賞した社会派ドラマの傑作

 男やもめのルポライターフィル・グリーンは、 雑誌社に招かれてニューヨークに引っ越して来た。社を訪ねたフィルは、編集長ジョン・ミニフィの 自宅での晩餐会に招かれ、ミニフィの姪で今回の連載の発案者でもあるキャシーと出会った。フィ ルが依頼されたのは反ユダヤ主義についての記事だった。
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 翌日の朝食の席で、母 親に仕事 の話をしていると、息子のトミーから 反 ユダヤ主義について質問を受け、フィルは当惑しながらも説明をした。
 今回の仕事に乗り気でなかったフィルだったが、「無垢な子供にいい話をしてあげられるといいね」、との母親の言葉を受け、連載を引き受け ることにした。
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 フィルとキャシーの仲は親密なものとなっていったが、仕事の方は 行き詰っていた。

 ある晩、母親が心臓発作に見舞われた。大事には至らなかったが、弱気になったフィルは今回 の仕事を辞退することにした。しかし、母親と話をしているうち に、自分がユダヤ人になりきるというアイディアが閃いた。ニューヨークでは、まだ自分は知られていない…。
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 『紳士協定』 予告編



 ◆
 主な出演者など

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フィル役グレゴリー・ペック
キャシー役 … ドロシー・マクガイア
デイヴ役 … ジョン・ガーフィールド
アン役セレステ・ホルム
母親役 … アン・リヴィア
トミー役 ディーン・ス トックウェル

 ・ハリウッドのメジャー会社の創設者 … パラマウント社のアドルフ・ズーカー、MGM社のルイス・B・メイヤー、 ワーナー・ブラザース社のワーナー兄弟、20世紀FOX社の前身FOX社のウィリアム・フォックス … はユダヤ人であり、映画の都ハリウッドはユダヤ人によって創られたと言っても過言ではない。
 (右の写真)グレゴリー・ペック
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Gentleman's_Agreement-24  ・ユダヤ人社会だったとも言えるハリウッドであるが、20世紀FOX社の副社長ダリル・F・ザナックが、アンチ・セミティズム(反ユダヤ主義)を告発した女流作 家ローラ・Z・ホブソンのベストセラー小説「紳士協定」 の映画化を決めた際には、臭いものには蓋をせよとばかりに、反対する声も多かったという。
 (左の写真)左から、モス・ハート、グレゴリー・ペック、エリア・カザン、ダリル・F・ザ ナック

 ・ちなみに、ザナックはユダヤ人ではないが、原作者のホブソン、脚本家のモス・ハート、 デイヴ役のジョン・ガーフィールドがユダヤ人である。

 ・アカデミー賞では8部門でノミネートされ、作品賞、監督賞、助演女優賞(セレ ステ・ホルム)の3部門を受賞。演技指導には定評のあったカザン監督。グレゴリー・ペック、ドロシー・マクガイア、アン・リヴィアもオス カー候補となった。もっ とも、カザン監督はグレゴリー・ペックの演技には不満だったらしく、撮影開始の早い時期から作品に対して情熱を感じられず、好きな作品ではなかったとのこ と。
 製作者のザナックは、社会 的なメッセージよりもエンターテインメントを重視したのが成功の要因だとしている。
 (右の写真) セレステ・ホルムとエリア・カザン監督。アカデミー賞授賞式にて。
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 ・日本でも大人気のグレゴリー・ペックが主演で、アカデミー賞受賞作であるのに日本で初公 開されたのは1987年。
 戦後の日本では、アメリカ映画の配給はGHQの外郭団体「セントラル映画社」が1951年(昭和26年)まで独占していた。本作については、アメリカの 国益に反すると判断されて公開されなかった。
 (左の写真) グレゴリー・ペック


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  ◆ 
ピック・アップ … ドロシー・マクガイア、ジョン・ガーフィールド

Dorothy_McGuire
 Dorothy McGuire 1916 -2001(アメリカ)

 ・ネブラスカ州生れ。同州のアマチュア劇団オマハ・コミュニティ・プレイハウスで演技のキャリアをスタートした。
 * オマハ・コミュニティ・プレイハウス … マーロン・ブランドの母親が創設者の1人。ヘンリー・フォンダも同劇団でキャリアをスタートさせた。


 ・1938年、舞台「我等の町」 で、マーサ・スコットの代役としてブロードウェイ・デビュー。その後、主役を務めた 舞台「Claudia(1941年)を観たデビッド・O・ セルズニックにスカウトされ、同作の映画版(1943年)で銀幕デビューした。
 * 「我等の町」 … ウィリアム・ホールデン、マーサ・スコット主演で映画化(1940年)された。
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『紳士協定』(1947 年)
グレゴリー・ペックと

『友情ある説得』 (1956年)カラー作品
ゲーリー・クーパー

 ・『ブルックリン横丁』(1945年/監督:エリア・カ ザン)、『友情ある説得』(1956年/監督:ウィリアム・ワイラー、 『避暑地の出来事』(1959年)、『偉大な生涯の物語』(1965年 /監督:ジョージ・スティーブンス等に出演。『紳士協定』 でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなど、確かな演技力で息長く活躍した。



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ジョン・ガーフィールドと ドロシー・マクガイア



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 John Garfield 1913 -1952(アメリカ)

 ・1913年、ニューヨーク生れ。本名はジェイコブ・ジュリアス・ガーフィンクル。貧しい家庭で育ち、いわゆる不良少年だった。

 ・1932年、ブロードウェイ・デビュー。エリア・カザンと同じ劇団「グループ・シアター」に所属していたこともある。

 ・ワーナー・ブラザーズ社と契約し、銀幕デビュー作『四人の姉妹』(1938年/監督:マイケル・カーティスで アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。
 
 ・第2次世界大戦時、心臓疾患のために軍への入隊が叶わず、ベティ・デイビス等と 軍人向けのクラブ「ハリウッド食堂」の開設に尽力した。
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The_Postman_Always_Rings_Twice
『四人の姉妹』(1938 年)
 プリシラ・レーンと

『郵便配達は二度ベルを鳴 らす』(1946年)
ラナ・ターナー

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Body_and_Soul
『紳士協定』(1947 年)
 グレゴリー・ペックと

Body and Soul』(1947年)
リリー・パルマーと


 ・1946年、ワーナー・ブラザーズ社との契約を更新せずに独立。フィルム・ノワール作品 『Body and Soul (1947年) でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。

 ・順調だったキャリアが、‟赤狩り”により暗転。1951年、下院非米活動委員会で証言を 拒否したためハリウッドのブラック・リストに載ってしまった。その後、ブロードウェイで舞台「ゴール デン・ボーイ」(1952年)に出演したのが最後となった。

 ・1952年39歳で他界。ブラック・リストに載ったことによるストレスが心臓疾患を悪化させたとも言われている。


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