20世紀・シネマ・パラダイス

Megaphonebar
Ingmar_Bergman

イングマール・ベルイマン

Ingmar Bergman

1918-2007(スウェーデン)

Megaphonrbar


  ◆ 代表作

The_Seventh_Seal
Wild_Strawberries
第七の封印
Det sjunde inseglet

(1957年/スウェーデン)
野いちご
Smultronstallet
(1957年/スウェーデン)
The_Virgin_Spring
The_Silence-3
処女の泉
Jungfrukallan
(1960年/スウェーデン)
沈黙
Tystnaden
(1963年/スウェーデン)
Persona-3
Cries_and_Whispers-3
仮面/ペルソナ
Persona
(1966年/スウェーデン)
叫びとささやき
Viskninger Och Rop
(1973年/スウェーデン)
Autumn_Sonata
Fanny_and_Alexander-3
秋のソナタ
Hostsonaten
(1978年/スウェーデン)
ファニーとアレクサンデル
Fanny och Alexander
(1982年/スウェーデン)

   
     ◆
 スウェーデン映画の巨匠

 ・1918年、スウェーデンのウプサラ生れ。父親はルテール教会の牧師で厳格な人物だったが、イングマールは8歳の頃に信仰心を失くし、学校では宿題や試験が嫌いな怠け者だったという。1938年、ストックホルム大学に入学するも、学生演劇に熱中し、大学は中退(1940年)した。
  * ルテール教会 … キリスト教プロテスタントの教派でルター派とも呼ばれる。スウェーデンの国教会。

 ・劇場で働いていたが、自作の戯曲が評価され、映画会社の脚本部に入社。脚本を執筆し、助監督も務めた『もだえ』(1944年/監督:アルフ・シェーベルイ)がカンヌ国際映画祭(1946年度)でグランプリを受賞した。

 ・『危機』(1946年)で映画監督としてデビュー。作品の興行的な苦戦が続き、映画監督として見切りをつけられそうになったが、ロマンチック・コメディ『夏の夜は三たび微笑む』(1955年)が大ヒット。カンヌ国際映画祭で特設の詩的ユーモア賞を受賞する等、国際的にも評価され、映画監督としての地位を確固たるものにした。
 (右の写真)『危機』撮影時のベルイマン監督
Crisis_1946

Summer_with_Monika
Summer_with_Monika
『不良少女モニカ』(1953年)
ハリエット・アンデルセン
『不良少女モニカ』撮影時
ハリエット・アンデルセンと
Smiles_of_a_Summer_Night
Smiles_of_a_Summer_Night
『夏の夜は三たび微笑む』(1955年)
ビヨルン・ベルフヴェンスタム、
ウーラ・ヤコブソン
『夏の夜は三たび微笑む』撮影時
ウーラ・ヤコブソンと

 ・『第七の封印』(1957年)。十字軍の遠征から帰国した騎士が、自分に取り憑いた死神と命を賭けてチェスの対決をする…。前作『夏の夜は三たび微笑む』の成功により創作の自由を得たベルイマン監督が、神の存在を問いかけた意欲作。カンヌ国際映画祭の審査員特別賞を受賞した。
The_Seventh_Seal
The_Seventh_Seal
『第七の封印』(1957年)
ベント・エケロート、マックス・フォン・シドー
『第七の封印』撮影時
死神役のベント・エケロート(右)と

 ・『野いちご』(1957年)。「スウェーデン映画の父」ヴィクトル・シェストレムを主役に迎え、彼が演じた老教授が人生の意義に思い巡らせる1日を夢や回想を交えながら描いた。ベルリン国際映画祭の金熊賞等、数多くの賞を受賞。ベルイマン監督の作品の中で最も人気の高い作品の1つ。
 * ヴィクトル・シェストレム … グレタ・ガルボのページをご参照下さい。
Wild_Strawberries
Wild_Strawberries
『野いちご』(1957年)
ヴィクトル・シェストレム
『野いちご』撮影時
ヴィクトル・シェストレム(右)と

 ・『女はそれを待っている』(1958年)でカンヌ国際映画祭の監督賞、『魔術師』(1958年)でヴェネツィア国際映画祭の審査員特別賞等を受賞。
Brink_of_Life
The_Magician
『女はそれを待っている』(1958年)
イングリッド・チューリン、ビビ・アンデショーン
『魔術師』(1958年)
イングリッド・チューリン、マックス・フォン・シドー

 ・『処女の泉』(1960年)。ベルイマン監督が崇拝していた黒澤明監督の『羅生門』(1950年)に触発されて撮った作品。娘を強姦・殺害された父親が復讐を果たす姿を描き、神の存在を問いかけた。アカデミー賞の外国語映画賞、カンヌ国際映画祭の審査員特別賞等、数多くの賞を受賞した。
The_Virgin_Spring-4
The_Virgin_Spring-2
『処女の泉』(1960年)
マックス・フォン・シドー、ビルギッタ・ペテルソン
『処女の泉』撮影時
カメラマンのスヴェン・ニクヴィスト(右)と

 ・日本では、『処女の泉』(1961年)、『野いちご』(1962年)、『第七の封印』(1963年)の順で公開され、キネマ旬報ベスト・テンの第1位、第1位、第6位に。

 ・『悪魔の眼』(1960年/日本未公開)を撮った後、所謂‟神の沈黙”3部作、『鏡の中にある如く』(1961年)、『冬の光』(1962年)、『沈黙』(1963年)を発表。『鏡の中にある如く』で2年連続となるアカデミー賞外国映画賞を受賞。
Through a Glass Darkly
Through_a_Glass_Darkly
『鏡の中にある如く』(1961年)
ラーシュ・パッスコード、
ハリエット・アンデルセン
『鏡の中にある如く』撮影時
ベルイマン監督(左から2番目)
Winter Light
Winter_Light
『冬の光』(1962年)
グンナール・ビョルンストランド
『冬の光』撮影時
グンナール・ビョルンストランド(右)と
The_Silence-4
he_Silence-2
『沈黙』(1963年)
イングリッド・チューリン
『沈黙』撮影時
イングリッド・チューリンと

 ・フェデリコ・フェリーニ監督『8 1/2』(1963年)のパロディで、自身初のカラー『この女たちのすべてを語らないために』(1964年/日本未公開)を発表。また、ストックホルム王立劇場の総監督(1963〜1969年)に就任する等、演劇界の活動も並行していた。

 ・『仮面/ペルソナ』(1966年)。2人の女性の摩訶不思議な体験を描いた幻想的な作品。
Persona-4
Persona-2
『仮面/ペルソナ』(1966年)
ビビ・アンデショーン、リヴ・ウルマン
『仮面/ペルソナ』撮影時
ビビ・アンデショーン(左)、リヴ・ウルマン(中央)と

 ・『猿の時刻』、『恥』(1968年)、『情熱』(1969年)、『愛のさすらい』(1971年)は、日本では劇場公開されなかったが、元はTVドラマの『夜の儀式』(1969年)が劇場公開された。

 ・『叫びとささやき』(1973年)。3姉妹と瀕死の病に臥す次女に仕える召使、4人の女性の苦悩と人間関係を赤裸々に描いた作品。
Cries_and_Whispers-4
Cries_and_Whispers-2
『叫びとささやき』(1973年)
手前の3人左から、
イングリッド・チューリン、
ハリエット・アンデルセン、リヴ・ウルマン
『叫びとささやき』撮影時
エルランド・ヨセフソン(左)、リヴ・ウルマンと

 ・『ある結婚の風景』(1973年)。TVのミニシリーズで全5時間弱の作品を劇場用に再編集した作品。同じくTVドラマだった『魔笛』(1975年)、『鏡の中の女』(1976年)も日本では劇場公開された。
Scenes_from_a_Marriage
Scenes_from_a_Marriage
『ある結婚の風景』(1973年)
エルランド・ヨセフソン、 リヴ・ウルマン
『ある結婚の風景』撮影時
リヴ・ウルマン、エルランド・ヨセフソン(右)と
Face_to_Face
Face_to_Face
『鏡の中の女』(1976年)
エルランド・ヨセフソン、
リヴ・ウルマン
『鏡の中の女』撮影時
リヴ・ウルマン、エルランド・ヨセフソン(中央) と

 ・1976年、脱税容疑で逮捕(誤認逮捕)。2ヶ月程で容疑が晴れたが、精神的なダメージを受けたベルイマン監督はスウェーデンで働くことを拒否して出国。移住先のミュンヘンで『蛇の卵』(1977年)を撮ったが、作品の評価は芳しくなかった。

 ・『秋のソナタ』(1978年)。スウェーデン出身の大女優イングリッド・バーグマンを主役に迎え、ノルウェーで撮影された作品。バーグマンの最後の劇場用映画となった。
Autumn_Sonata-3
Autumn_Sonata
『秋のソナタ』(1978年)
リヴ・ウルマン、イングリッド・バーグマン
『秋のソナタ』撮影時
イングリッド・バーグマンと

 ・西ドイツでTVドラマ『夢の中の人生』(1980年)を監督。

 ・『ファニーとアレクサンデル』(1982年)。スウェーデン政府からの和解の求めに応じて帰国し、同国の映画史上最大の製作費(当時)を 投じた大作。5時間11分のTV版と3時間8分の劇場版が作られたが、日本ではTV版が劇場公開された。アカデミー賞の外国語映画賞等、数多くの賞を受 賞。当初から引退作と決めていた映画監督としての集大成的な作品で、本作の撮影現場を監督自身が記録した『ベルイマンの世界』(1986年)も公開された。
Fanny_and_Alexander
Fanny_and_Alexander-2
『ファニーとアレクサンデル』(1982年)
バッティル・ギューヴェ、ペルニラ・アルヴィーン
『ファニーとアレクサンデル』撮影時
後方中央がベルイマン監督

Ingmar_Bergman-2
 ・TVドラマ「リハーサルの後で」(1984年) 、「The Blessed Ones(1986年)、In the Presence of a Clown(1997年)を監督。
 カンヌ国際映画祭でパルム・ドール大賞を受賞した『愛の風景』(1992年/監督:ビレ・アウグスト)、息子のダニエルが監督した『日曜日のピュ』(1992年)、リヴ・ウルマンが監督した『不実の愛、かくも燃え』(2000年)等の脚本を執筆。
 * 『愛の風景』 … ベルイマン監督の両親の物語
 (左の写真)志村喬(左)と。1961年ベルリンにて

 ・『サラバンド』(2003年)。スウェーデンのTVドラマ(107分)として撮られたが、日本を含む他国では劇場用映画(120分)として公開されたベルイマン監督の遺作。『ある結婚の風景』(1973年)の続編と言われる事もある。
Saraband
Saraband
『サラバンド』(2003年)
エルランド・ヨセフソン、 リヴ・ウルマン
『サラバンド』撮影時
 リヴ・ウルマン、エルランド・ヨセフソン(右)と

 ・私生活では5度の結婚歴がある他、自作に起用した女優たちと浮名を流した。その1人、リヴ・ウルマンとの関係は、彼女自身が出演したドキュメンタリー映画『リヴ&イングマール ある愛の風景』(2012年)で描かれた。

 ・アカデミー賞のアービング・G・タルバーグ賞(1970年)、ヴェネツィア国際映画祭の栄誉金獅子賞(1971年)、カンヌ国際映画祭のパルム・ドール名誉賞(1997年…同賞の最初の受賞者)等々、多数の名誉を授かった。
Ingmar_Bergman-3

 ・2007年89歳で他界。

ベルイマン監督作品の常連俳優  < 男優 >  <女優 >


HOME