|  20世紀・シネマ・パ
ラダ
イス
 
  
 
        
          
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 | 天井桟敷の人々
 Les enfants du Paradis
 監督:マル
セル・カルネ
 (1945年/フランス)
 
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 ◆ フランス映画の金字塔
 
 
 
        
          
            | 19世紀のパリ。劇場などが建ち並ぶ犯罪大通り(通称)は
大勢の人々で賑わっていた。 |  
 
        
          
            | 見世物小屋の女芸人ガランスは
スリの容疑を受けたが、一部始終を目撃していたパントマイム
芸人バチストのおかげで無罪放免となった。 |  
 
        
          
            | 女たらしの俳優フレデリックが役を求めて無言劇団フュナンビュル座の舞台裏に入り込んだ時、
舞台上で喧嘩が始まり、幕が一旦下ろされた。フレデリックは役を放棄した俳優の代役にありつき、出番の無かったバチストも舞台出演の時を得た。座長の娘で
女優のナタリーはバチストを愛していたが、バチストはガランスに一目惚れしていた。 |  
 
        
          
            | バチストとフレデリックは意気投合し、バチストは宿無しのフレデリックに馴染みの下宿を紹
介してやった。 |  
 
        
          
            | 夜の街を徘
徊していたバチストは、盲人を装って物乞いをしている絹糸という老人と出会い、彼の行きつけの
酒場に誘われた。 |  
 
        
          
            | 2人が大衆酒場「赤い咽喉」に入ると、街の至る所に出没している古着屋のジェリコがやって来た。 暫らくすると、ガランスがラスネールに引率されて来た。ラスネールは表向きは代筆業を営ん
でいるが、裏ではあらゆる悪事を働いている男だ。ガランスがスリの容疑を受けた時の真犯人も彼であり、「赤い咽喉」
の前店主を殺したのも彼だと噂されていた。
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            | バチストがガランスをダンスに誘い出すと、ラスネールの子分が喧嘩を売ってきた。バチスト
は一蹴りで相手を撃退し、ガランスと店を出た。 |  
 
        
          
            | 住み込みの職場を辞めたというガランスにバチストは下宿を紹介した。バチストは愛を告白し
た
が、初めての恋愛に臆病だった。ガランスは15歳で天涯孤独となって以来、自由気ままに生きてきた女だ。バチストが去った後、彼女は部屋へ訪ねて来たフ
レデリックを迎い入れた…。 |  
 
        
          
            | フュ
ナンビュル座はバチスト自作自演の舞台が当たり、連日超満員の大盛況だった。バチストの口添えでガランスも同一座で働くようになっていた。 |  
 
        
          
            | バチストは
ガランスとフレデリックの仲を感じ取ってたが、ナタリーから彼等の関係を聞かされると、それを認めようとはしなかった。 |  
 
        
          
            | 公演後のガランスの楽屋。フレデリックがガランスを弄っていた。「寝言で
バチストと言っていた…」。その時、舞台を観てガランスを見初めたモントレー伯爵が訪ねて
来た。伯爵は結婚を申し込んだが、ガランスは断った。 |  
 
        
          
            | 伯爵と入れ替わりでバチストがやって来て、ガランスへの思いのたけをぶちまけた。ガランス
がそれに応えようと
したその時、ナタリーが現れ、バチストと結ばれるのは自分だと訴えた。 |  
 
        
          
            | ラスネールが下宿で殺人未遂をおこし、ガランスは共犯の容疑を受けた。警察に連行されそう
になったガランスは、刑事にモントレー伯爵の名刺を差し出した…。 |  
 
  
      
      
        
          
            | 6年の歳月が流れた。台詞劇を志望していたフレデリックは別の劇団に移り、人気役者と
なっていた。 ある日の公演後、フレデリックが楽屋に戻ると見知らぬ男が潜入していた。男はラスネール。金を無心し、フレデリックが拒めば殺すつもりだった。
 
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            | フレデリックは日頃コケにしていた劇作家との決闘で腕を負傷したため公演を休み、フュナンビュル座へ行った。バチストの舞台は大人気で空席がなかった
が、昔馴染みの切符売りが貴賓席へ案内してくれた。そこに、パリから姿を消していたガランスがいた。モントレー伯爵夫人となっていた彼女は、パリに戻っ
てから毎晩バチストの舞台を観に来ていたのだった。 
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            | 幕間。フレデリックは久方ぶりにバチストと再会した。バチストはナタリーと結婚して息子
を授
かっていた。 ジェリコが現れ、ガランスが貴賓席に来ていることをナタリーに耳打ちした。
 
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            | ナタリーは息子にガランスへの伝言を託した。「私たちは幸福に暮らしている
」。 フレデリックからガランスが会いたがっていると知らされたバチストは、舞台から飛び出して貴賓席へ向かったが、ガランスが席を立った後だった。
 
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            | ガランスが屋敷へ戻るとラスネールが待っていた。彼もまたガランスに惚れていたのだ。 ラスネールは帰宅して来たモントレー伯爵と口論になり決闘を挑まれたが、それを拒否して立ち去った。
 
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            | ガランスと結婚したものの、彼女から愛されずに満たされぬ思いの伯爵から愛情を求められた
ガランスは、別に愛している人がい
ると打ち明けた。 その頃、失意のバチストは舞台を放棄して、馴染みの下宿に雲隠れしていた。
 
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            | モントレー伯爵夫妻はフレデリックの新作劇「オセロ」
を観に行った。フレデリックからガランス宛に花が届き、伯爵はガランスの意中の人がフレデリックであると思い込んでしまった。 
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            | 公演後のパーティー会場。バチストとガランスは数年ぶりに再会を果たした。 
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            | モントレー伯爵は恋敵だと思い込んでいるフレデリックを挑発していた。そこへラスネールが
現れた。伯爵から侮辱されたラスネールは、腹いせに、バルコニーで抱き合っているガランスとバチストの姿を伯爵に見せつけた。 
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            | バチストとガランスは下宿へ行き、一晩を共にしたが…。 
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 | 『天井桟敷の人々』 予告編 
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 ◆ 主
な出演者など
 
 
 
        
          
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                  | バチスト役 |  
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                  | ジャン=ルイ・バロー |  |  | 
              
                
                  | ガランス役 |  
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                  | アルレッティ |  |  
 
        
          
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                  | フレデリック役 |  
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                  | ピエール・ブラッスール |  |  
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                  | ナタリー役 |  
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                  | マリア・カザレス |  |  
 
        
          
            | ラスネール役 | ジェリコ役 | モントレー伯爵
役 
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            | マルセル・エラン | ピエール・ルノワール | ルイ・サルー 
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            | ・パリがナチス・ドイツに占領され、多くの映画人がアメリカに亡命する中、国内に留
まった人たちが3年近くの歳月をかけて完成させた超大作。 マルセル・カルネ監督曰く、「フランス映画人の心意気」。世間から
は、作品の製作そのものがレジスタンス活動だと賞賛された。
 (右の写真)撮影中のマルセル・カルネ監督(手前の右から2番目)
 
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 | ・脚本家は、シャンソンの名曲「枯葉」
の作詞家としても名高いジャック・プレヴェール。カルネ監督とは多くの作品で組んだ名コンビだった。 当作品からは、「愛し合う者同士にはパリも狭い」、「恋なんて簡単よ」(どちらもガラン
スの台詞)といった名台詞が生まれた。
 (左の写真)ジャン=ルイ・バロー、アルレッティ
 
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            | ・ジャン=ルイ・バローが、パントマイム芸人でピエロのキャラクターを創造した実在の人物
ジャン=ガスパール・ドビュロー(1796-1846年)のことをカルネ監督に話したことが
映画製作のきっかけだったという。フレデリックとラスネールも実在した人物をモデルにしている。 (右の写真)撮影時のカルネ監督とジャン=ルイ・バロー
 
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 | ・バチストの父親役を演じたエチエンヌ・ドュクルーは、当時のフランスでパントマイムの第
一人者でジャン=ルイ・バローのパントマイムの師匠でもあった。 (左の写真)ジャン=ルイ・バロー、エチエンヌ・ドュクルー
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            | ・1979年、フランス映画芸術アカデミーにより、歴代映画ベストワンに選出された。 日本でも、キネマ旬報社が1980年に選定した「外国映画史上ベストテン」で第1位になるなど、フランス映画の金字塔的作品として評価されている。
 (右の写真)天井桟敷の人々
 
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 ◆ ピック・アップ … ジャン=ルイ・バロー、アルレッティ
 
 
 
        
          
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 | Jean-Louis Barrault 1910-1984
(フランス) 
 ・1931年、舞台俳優としてデビューし、『みどりの園』(1935年)で銀幕デビュー。マルセ
ル・カルネ監督のデビュー作『ジェニイの家』(1936年)にも出演し、同監督との3作目『天井桟敷の人
々』のバチスト役は一世一代のハマリ役となった。
 
 
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            | ・『美しき青春』(1936年)で共演し
たマドレーヌ・ルノーと1940年に結婚し、1946年に夫妻で
「ルノー・バロー劇団」を結成。演出もこなし、フランス演劇界の一翼を担った。 
 ・オールスター・キャストの『輪舞』(1950年)等に出演。ハリウッドの大作『史上最大の作戦』(1962年)には、妻のマドレーヌ・ルノー、アルレッティ等と共に出演した。
 
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            | 『美しき青春』(1936
年) マドレーヌ・ルノーと
 | 『天井桟敷の人々』
(1945年) 
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            | 『輪舞』(1950年) オデット・ジョワイユと
 
 | 『史上最大の作戦』(1962年) |  
 
 
 
 
        
          
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 | Arletty 1898-1992
(フランス) 
 ・1919年に舞台でデビュー。銀幕デビューはトーキー後の1930年だった。
 マルセル・カルネ監督作品の常連で、『北ホテル』(1938年)、『陽は昇る』(1939年)、『悪魔が夜来る』(1942年)、『天井桟敷の
人々』(1945年) 、『われら巴里っ子』(1954年)に
出演。40代になってから人気スターとなり、『天井桟敷の人々』公開時は47歳。ジャン=ルイ・バローよりも12歳年上だった。戦後も舞台、映画で息長く
活躍した。
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            | 『北ホテル』(1938
年) ルイ・ジューベと
 
 | 『陽は昇る』(1939年) ジャン・ギャバンと
 
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            | 『悪魔が夜来る』
(1942年) アラン・キュニーと
 | 『天井桟敷の人々』
(1945年) |  
 
 
        
          
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 | (左の写真) ジャン=ルイ・バロー(左)
 チャールズ・チャップリン(右)
 シモーヌ・ヴァレール(手前)
 話題はやっぱりパントマイム芸かな?
 
 
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            | (右
の写真) ヴィヴィアン・リー(左)
 アルレッティ(右)
 フランスでの舞台「欲望という名の電車」で
 ブランチを演じることになったアルレッティが、
 ロンドンで公演中のヴィヴィアンを訪ねた
 
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