20世紀・シネマ・パラダ
イス
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七年目の浮気
The Seven Year Itch
監督:ビリー・ワイルダー
(1955年/アメリカ)
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◆ マリリ
ン・モンローの魅力が満載のお色気コメディ
夏のマンハッタン。出版社勤めのリチャードは、
妻子が避暑地に出かけ、今日から1人暮らし。アパートに帰ってみると、上階にブロンドの美女が
引っ越して来ていた。部屋主が留守の間だけ住むことになったという。 |
リチャードは結婚7年目だが浮気をした事がない。もっとも、本人に言わせれば浮気のチャ
ンスは何度
もあった。浮気の場面を空想しつつテラスで読書をしていると植木鉢が落ちてきた。見上げるとブロンドの美女がいた。リチャードは彼女を部屋に招待した。 |
リチャードは‟ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番”を演奏して美女を迎えた。すると、美女
は「ゾ
クゾクする」と訴え、2人は唇を重ねた…。 |
…と空想していると美女がやって来た。彼女はタレントで歯磨きのCMに出演しているとい
う。会話をしているうちに、彼女はシャンペンを買ってあることを思い出し、部屋に取りに行った。
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シャンペンで乾杯した後、リチャードはラフマニノフのレコードをかけたが、彼女の反応は
そっけなかった。ところが、ピアノで ‟チョップスティック”を連弾していると、彼女が「ゾクゾクする」
と言い出した。リチャードはキスを迫ったが、椅子から転げ落ちた。
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リチャードは自分の行動にショックを受けた。翌日、会社で出版予定の原稿を読んでいると、既婚男性の多くが結婚7年目に浮気をすると書かれてある。不安を
覚えていると、その原稿の著者である精神病の医師ブルベイカー博士がやって来た。博士はリチャードの指が痙攣していることに気づき、リチャードが前夜の事
を打ち明け
ると、「7年目のカユミ」の症状だと診断した。
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リチャードは、美女が前夜の事を言いふらし、家族にも知られてしまうとの空想に襲われた。
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避暑地に電話を入れたリチャードは、今度は妻が浮気をしていると空想し、それならばと、美
女を映画に誘った。
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2階の部屋にはエアコンが無く、美女は3日間眠れていないという。リチャードは美女を泊め
る事にしたが、アパートの管理
人に目撃され、美女は2階へ戻った。ところが、しばらくすると、床を外して美女が降りて来た。2人は同じ部屋で一晩を過ごすことになった…。
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『七年目の浮気』 予告編
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◆ 主な出演者など
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・リチャード役 …
トム・イーウェル
・ブロンドの美女役
… マ
リリン・モンロー
・ヘレン(リチャードの
妻)役 … イヴリン・キース
・アパートの管理人役
… ロバート・ストラウス
・ブルベイカー博士役
… オスカー・ホモルカ
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・ブロードウェイで1952年11月から1955年8月まで上演された大ヒット舞台劇の映
画化作品。舞台でも主役を演じていたトム・イーウェルは、同作でトニー賞の演劇主演男優賞(1953年)を
受賞。浮気相手の美女はヴァネッサ・ブラウンが演じた。
(右の写真)舞台「七年目の浮気」。トム・イーウェル、ヴァネッサ・ブラウン
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・舞台劇では主人公が不倫をしてしまうが、当時の映画製作倫理規定では不貞行為の描写は禁
じられており、映画化は困難と思われていた。そんな作品に挑戦したワイルダー監督だったが、脚本の見直しや台詞のカット等を余儀なくされることが多く、当
初描いていた内容とはかなり違う作品になっ
たようだ。
(左の写真)撮影時。左から、ワイルダー監督、トム・イーウェル、マリリン・モンロー
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・1954年9月15日の午前1時、伝説となる撮影が行われた。地下鉄の換気口からの風で
スカートがまくれ上がるシーン。深夜にもかかわらず、ニューヨークの街角には大勢(一説には2万人)の
観衆が集まった。その中に1人憮然とした男がいた。当時のモンローの夫ジョー・ディマジオである。撮影後、夫婦喧嘩となり、数週間後に2人は離婚すること
となった。
(右の写真)トム・イーウェル、マリリン・モンロー
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中が透けないようにモンローは下着を2枚重ね着していた等々、様々な伝説が残っているが、
こ
の時に撮影したフィルムには野次馬の声が入っていて使いものにならず、映画で使用されたのはスタジオで撮り直したものだという。集まった観衆や20世紀
FOX社の宣伝部を大いに喜ばせたロケだったが、モンローにとっては苦い思い出となった撮影だったのかも知れない。
(左の写真)トム・イーウェル、マリリン・モンロー
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・モンローのドレスは、デザイナーが1990年に亡くなるまで保管していたが、そ
の後デビー・レイノルズが入手し、彼女が運営する「ハリウッド博物館」
に展示されていた。 |
しかし、博物館が破産し、2011年6月、オークションにかけられると、オー
ドリー・ヘップバーンが『ティファニーで朝食を』で
着用した黒いドレスの約92万ドルを大きく上回る460万ドル(約3億7千万円)で落札。映画史上最も高価で有名なドレスの称号を得た。
(右の写真)モンローの衣装とデビー・レイノルズ(左)
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・1955年6月1日。モンローの29歳の誕生日にプレミア試写会が開催され、モンローは
離婚した元夫のジョー・ディマジオにエスコートされて会場に姿を現した。ニューヨークの劇場には、まくれ上がるスカートを両手で押さえているモンローの巨
大
な看板(高さ16メートル)が掛けられ、こちらも大きな話題となった。(左の写真)ジョー・ディマジオ、マリリン・モン
ロー。プレミア試写会にて。
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