20世紀・シネマ・パラダ イス
現金に手を出すな
Touchez pas au Grisbi
監督:
ジャック・ベッケル
(1954年/フランス)
◆
フランス でギャング映画のブームを巻き起こす
初老のギャング・
マックス
は、 20年来の相棒
リトン
と組んで、オルリー空港から5千万フランの金塊を強奪した。
リトンがナイトクラブの若い踊り子
ジョジィ
に熱を上げており、マックスはリトンに誘われてナ イトクラブに繰り出した。
そのナイトクラブは古くからの友人
ピエロ
が 経営しているが、その店に出入りしている
アンジェロ
は麻薬の密売で勢力を拡大していた。
リトンと別れ、自宅へ向かったマックスは何者かに後をつけられたが、それはアンジェロの子 分たちだった。マックスは彼等を追い払った後、電話でリトンを呼び出し、隠れ家へ向かった。
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リトンは、ジョジィがアンジェロと通じているとは知らずに金塊の事を漏らしてしまい、その 為、マックスとリトンはアンジェロから付け狙われる羽目になったのだった。
翌日、マックスは闇の商売をしている叔父を訪ね、金塊の換金を依頼した。その頃、リトンは落とし前をつけようとジョジィを訪ねたが、アンジェロたちに拉 致されてしまった。
マックスは迂闊なリトンと組んだ事を後悔したが、見捨てる事はできなかった。彼はリトンの 居場所を突き止めるためジョジィを訪ねたが、彼女はそこまでは知らなかった。
アンジェロの子分を捕まえたマックスは、ピエロの店へ行き、リトンの居場所を白状させようとした。
そこへ、アンジェロからリトンと金塊の交換を要求する電話が掛かってきた…。
『現金に手を出すな』 予告編
◆
主な出演者など
マックス役
…
ジャン・ギャバン
Jean Gabin
リトン役
… ルネ・ダリー
Rene Dary
ジョジィ役
…
ジャンヌ・モ ロー
Jeanne Moreau
アンジェロ役
… リノ・ヴァンチュラ
Lino Ventura
ピエロ役
… ポール・フランクール
Paul Frankeur
・『現金
(げんなま)
に手を出す な』。パリの暗黒街に精通し、裏社会のスラングの解説書も書いた異色の作家アルベール・シモナンが1953年に発表した小説の映画化作品。
本国フランスで大ヒットし、ギャング映画ブームを巻き起こした。
(右の写真) 撮影時。ジャック・ベッケル監督(右)、ジャン・ギャバン (左から2番目)
・本作でデビューしたリノ・ヴァンチュラは、その後のギャング映画ブームで活躍し、スター の地位を確立した。
*
本作には ‟リノ・ボリニ” 名義で出演。ボリニは母親の旧姓。
フランスを代表する大女優となるジャンヌ・モローの初々しい姿も見どころの一つ。
(左の写真) ジャンヌ・モロー と リノ・ヴァンチュラ
< 主題曲 : 「グリスビーのブルース」 >
◆
ピックアップ … リノ・ヴァンチュラ
Lino Ventura
1919-1987 (イタリア/フランス)
・1919年、イタリアのパルマで生れ、8歳の時に家族でパリへ移住。間もなく父親が亡くなったため、子供の頃から働くようになった。16歳からレスリ ングに取り組み始め、1950年にはグレコローマンスタイルの欧州チャンピオンにもなった。
『現金に手を出すな』 のギャング役を探していたジャック・ベッケル監督にスカウトされ銀幕デビュー。
ギャング・スターとして人気を確立した後、コメディーもこなすようになり、フランスでは絶 大な人気を得た。
『現金に手を出すな』 ジャン・ギャバン(右)と
『死刑台のエレベーター』 (1958年/監督:ルイ・マル)
ジャンヌ・モローと
『冒険者たち』 (1967年) アラン・ドロン(左) と
『シシリアン』 (1968年/監督:アンリ・ヴェルヌイユ)
アラン・ドロン(左)、ジャン・ギャバン(中央) と
・‟漫画の神様” 手塚治虫のお気に入りの俳優の一人で、手塚漫画に度々登場するキャラクター、「丸首のブーン」
(右の画像)
は リノ・ヴァンチュラがモデル。
・
1987年
、
68歳
で他界。
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