20世紀・シネマ・パラダ イス

filmbar
Witness_for_the_Prosecution

     情婦
     Witness for the Prosecution
     監督:ビリー・ワイルダー
     (1957年/アメリカ)
filmbar

 
 観客を見 事に騙した法廷ミステリーの傑作

 1952年のロンドン。病で入院していた弁護士のウィルフリッド卿は、口うるさい看護婦のプリムソルに付き添われて退院して早々、未亡人のフレンチ夫人殺害の容疑でマークされている男性から弁護を依頼された。
Witness_for_the_Prosecution-1
Witness_for_the_Prosecution-2
 依頼人は元軍人で現在は無職のレナード・ヴォール。ヴォールはフ レンチ夫人と知り合った経緯を話し、自分にはアリバイがあるし、殺す動議がないと主張した。しかし、フレンチ夫人がヴォールに遺産を相続させる旨の遺書を 残していたことが発覚し、ヴォールは逮捕された。
Witness_for_the_Prosecution-3
Witness_for_the_Prosecution-4
 ヴォールの妻クリスチーネが ウィルフリッド卿を訪ねて来た。彼女は母国のドイツに正式な夫がいるため、ヴォールの本当の妻ではないという。ヴォールのアリバイを証明できる唯一の人物 であるが、証人として不適切な様子だった。ヴォールは極めて不利な状況だが、ウィルフリッド卿は彼の無罪を信じて弁護を引き受ける覚悟を決めた。
Witness_for_the_Prosecution-5
Witness_for_the_Prosecution-6

  


youtube
 『情婦』 予告編



  主な出演者など

ウィルフリッド卿役
レナード・ヴォール役
クリスチーネ役
プリムソル役
Charles_Laughton Tyrone_Power
Marlene_Dietrich
Elsa_Lanchester
チャールズ・ロートン
タ イロン・パワー
マレーネ・ディートリッヒ
エルザ・ランチェスター

 ・原作は、‟ミステリーの女王” アガサ・クリスティの 「検察側の証人」。
 1948年に短編小説として発表され、その後、クリスティ自身が戯曲を執筆した舞台劇がロンドン (1953年)、 ブロードウェイ (1954年) で上演され、大ヒットした。映画でフレンチ夫人宅の使用人ジャネット を演じたユーナ・オコナー (本作で引退)は舞台劇にも出演していた。
 (右の写真) アガサ・クリスティ
Agatha_Christie

Witness_for_the_Prosecution-20  ・映画では、口うるさい看護婦のプリムソルを新たに登場させ、ウィルフリッド卿と丁々発止 のやりとりをさせることで、いかにもハリウッド的な作品となった。名脚 本家でもあるビリー・ワイルダー監督が真骨頂を発揮させたと言える。ちなみに、エルザ・ランチェスターとチャールズ・ロートンは実生活では夫婦だった。
 (左の写真) エルザ・ランチェスターとチャールズ・ロートン

 ・アガサ・クリスティはイギリスの作家であり、本作の舞台もロンドン。サスペンスの名作を 数多く撮ったイギリスのキャロル・リード監督あたりが原作を忠実に映画化していたら、もう 少しシリアスな作風になっていたであろうし、それはそれで見応えのある作品になっていたのかもしれない。
 (右の写真) 左から、ビリー・ワイルダー監督、アーサー・ホーンブロウ・Jr. (製作者)、
  チャールズ・ロートン、マレーネ・ディートリッヒ
Witness_for_the_Prosecution-17

 ・ヴォールとクリスチーネがドイツの酒場で出会う回想シーンも映画で新たに加えられた場面 で、タイロン・パワーと
Witness_for_the_Prosecution-18 マレーネ・ディートリッヒの際どい宣伝用写真が何枚かある。邦題が 『情婦』 となったのは、これらの写真の影響かもしれない。映画を観る限り、原題通り 「検察側の証人」 という邦題で良かったような気がする。
 タイロン・パワーは次作の 『ソロモンとシバの女王』 の撮影中に心臓麻痺で急死 (44歳)。本作が 遺作となった。
 (左の写真) タイロン・パワー と マレーネ・ディートリッヒ
 * 『ソロモンとシバの女王』(1959年) … ユル・ブリンナーが代役を務めた。

 ・ミステリーは結末が意外であればある程おもしろい。本作は、「うわぁー、騙された」 だけで終わらないところが人気の所以だが、ビリー・ワイルダー監督は、その時が来るまで、脚本の最後の数ページを出演者たちにも見せずに撮影を進めていた という。「結末は他人には話さないで下さい 」 との宣伝文句も話題になった。
 (右の写真) タイロン・パワーとマレーネ・ディートリッヒ
Witness_for_the_Prosecution-19

Witness_for_the_Prosecution-21
 ・アカデミー賞では、作品賞、監督賞、主演男優賞 (チャールズ・ロートン)、助演女優賞(エルザ・ランチェスター)、編集賞の6部門でノミ ネートされたが、全て受賞は逃した。

 ・AFI (アメリカ映画協会) が2008年に選定したジャンル別ベスト10の 「法廷ドラマ」 で第6位に。


HOME