20世紀・シネマ・パラダ
イス
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青髭八人目の妻
Bluebeard's Eighth Wife
監督:エ
ルンスト・ルビッチ
(1938年/アメリカ)
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◆ クーパー
とコルベールが共演したソフィスティケイテッド・コメディの傑作
場所はフレンチ・リビィエラ‘コート・ダジュール’。百貨店へパジャマを買いに来たアメリ
カ人男性は、値段を聞くとその半額を出し、上だけ買うと言い出した。店員が安いパ
ジャマを勧めると、「ほとんどの男性がパジャマの上しか着ない…。値段の問題ではなく、主義の問題だ」
と言って譲らない。 |
男性と店員が押し問答しているところへ、パジャマの下だけ買うと言うフランス人娘が現れ
た。2人で縞模様のパジャマの上と下を買って、
一件落着した。 |
その日の夜。男性はホテルのベッドで、フランス人娘から教わった不眠治療法なるものを試し
て
みた。「CZECHOSLOVAKIA
(チェコスロバキア)」を逆から音読し、一文字毎に背伸びをしてあくびをするという方法。勿論、こんな事をしても眠れるハズもなく…。
不眠で悩まされた男性はホテルに部屋替えを要求。部屋を案内されている時に、貧乏貴族のロワゼル侯爵と
出くわした。
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侯爵は、アメリカ人男性が大富豪のマ
イケル・ブランドンであると気づくと、商売の企画を売りつけようとした。侯爵のパジャマの下を見たマイケルはビックリ。縞模様でサイズもダ
ブダブ。話を聞き、侯爵があのフランス人娘の父親であると知ったマイケルは、侯爵が勧めるルイ14世の浴槽なるシロモノを買うと約束し、娘
と
結婚すると宣言した。 |
公爵の娘のニコルが、ボー
イフレンドのアルバートと海岸でデートをしていると、マイケルが現れた。アルバートが自分
の会社のパ
リ支店の社員だと知ったマイケルは、仕事を命じて彼を追い払った。 |
マイケルは知り合って間もないニコルにプロポーズしたが、彼女は返事をせずに海へ飛び込ん
で、その場を去った…。 |
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ニコルがプロポーズを断ると知って、マイケルの金をあてにしていた侯爵は大弱り。その後、
マイケルが6万フラン (アルバートの月給の30倍)もの大金で侯爵から買ったルイ14世の浴槽を
巡っての一悶着があったが、いつしかニコルもマイケルに心惹かれていき、2人は結婚することになった。
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結婚披露宴の直前、ニコルはマイケルに7回も離婚歴があることを聞かされた。ニコルは結婚
を取り止め
ると言い出し、侯爵が気絶した。
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ロワゼル家親族の長である伯母が、マイケルを悪人と罵った。マイケルは、間違いに気付きな
がら結婚を続ける方が不道徳であり、別れた
元妻たちも年に5万ドルの慰謝料を貰って幸せに暮らしていると反論した。
5万ドルと聞いて、それまで気を失っていた侯爵が起き上がり、結婚に反対する伯
母と口論を始めた…。
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ニコルが、離婚した場合には年10万ドルの慰謝料を支払うことを結婚の条件として提示し
、マイケルが承諾。2人は晴れて(?)結婚した。
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2人はヨーロッパ一周の新婚旅行へ。最初の訪問地はチェコスロバキア。ニコルの目的はさっ
さと離婚して、年10万ドルの慰謝料をせしめることだった。あの手この手でマイケルを寄せ付けず、水の都ベニ
スで乗ったゴンドラも別々…。
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新婚旅行も終わり、新居に移り住んだが夫婦の部屋は別々。相変わらず不眠症のマイケルは本
を6冊も購入。その中の1冊、シェークスピアの「じゃじゃ馬ならし」読んで、ニコルを手懐けようと奮い立ったマイケルだったが…。
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「じゃじゃ馬ならし」
作戦に失敗したマイケル。次はアルコール作戦に出たが、ニコルの方が一枚上手。ニコルはマイケルが大嫌いなネギを食べてからキスを迫った…。
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ニコルが結婚の目的は慰謝料の10万ドルだと白状し、頭にきたマイケルは絶対に離婚は
しないと宣言した…。数日後、ニコルが浮気をしているとの匿名の手紙を受け取ったマイケルは、探偵を雇ってニコルのこと
を調査させた。
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ニコルは探偵に調査されていることもお見通しでだった。彼女は探偵を脅してマイケルの計画
を聞き出した。
何としても離婚したいニコルは、ニセの愛人を雇うことにした。マイケルが帰宅する時間を見計らって、ニセの愛人として雇った男がやって来た。喧嘩でマイ
ケ
ルに負けないようにヘビー級のボクサーを雇ったのだ。
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マイケルよりも一足先に部屋を訪れたのはアルバートだった。昼間、偶然再会した時に、ニコ
ルが置き忘れたカバンを届けに来たのだ。マイケルと人違いされたアルバートは、ボクサーのパンチでノックアウトされた。
帰宅したマイケルが、ニコルの部屋で寝ている(気絶している)
アルバートを発見。ついに根負けしたマイケルは、ニコルの望み通り離婚に同意をしたが…。
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『青髭八人目の妻』 予告編
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◆ 主な出演者など
・サイレント期の1923年に、サム・
ウッド監督、グロ
リア・スワンソン主演で映画化(邦題『幸福の扇』)されていた作品を、ビ
リー・ワイルダーとチャールズ・ブラケットのコンビが脚色。パジャマの上だけを買いに来た男性と、下だけを買いに来た女性とが出会うという設定は
ビリー・
ワイルダーの発案。
(右の写真)『幸福の扇』グロリア・スワンソン
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・エルンスト・ルビッチ監
督は、ゲーリー・クーパーとは『生活の設計』(1933年)で、クローデット・コ
ルベールとは『陽気な中尉さん』(1931年)で組んでおり、クーパーとコルベールの共演は、『貨物船と
女』(1931年)以来の2作目だっ
た。
(左の写真) 左から、ルビッチ監督、クーパー、コルベール |
・タイトルの‘青髭’は、17世紀のフランスの詩人・童話作家シャルル・ペローの童話「青
髭」
が由来。童話の青髭は、何度も結婚をしては、その妻たちを次々と殺害していくという恐ろしいストーリー。
そこから、‘青髭’とは、「何度も結婚する男」 → 「女性を次々に替える男」 → 「プレイボーイ」
の代名詞となった。 |
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・髭そり跡が青くなることを「青ひげ」と言うが、映画タイトルの「青髭」
はその「青ひげ」のことではありません。念のため。
映画の中で、クーパー扮するマイケル・ブランドンがほんの短い時間だが、‘髭’ をたくわえて登場するシーンもある。
(左の写真) ‘髭’のクーパー。コルベールと |
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