20世紀・シネマ・パラダ
イス
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イントレランス
Intolerance
監督:D.W.グリフィス
(1916年/アメリカ)
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◆ 「アメリカ映画の父」
グリフィス監督の不滅の名作
いつの時代においても「不寛容」(Intolerance)が、悲劇をもたらしていた…。 |
< 現代篇 >
人間性向上を訴える女性運動家た
ちに資金援助を求められた工場主は、足りない資金を補うため、従業員の賃金をカットした。従業員たちはストライキを起こしたが、武力で鎮圧されてしまっ
た。 |
可
愛い人は、職を失った父親と新たな土地へ移ったが、間もなく父親は亡くなった。彼女は、ギャングのボスの手下の青年と恋をした。彼もストライキ中に父親を亡くしていた。 |
2人は結婚し、青年はボスと手を切ったが、罠にはまり、無実
の罪で投獄されてしまった。可愛い人は赤ん坊を産
み、青年の出所を待った。一方、莫大な資金と社会的な地位を得た女性運
動家たちは、町の浄化と称し、酒類を追放する等の改革を実施していた。スラム街を視察に来た女性運動家たちは、可愛い人の赤ん坊を取り上げ、施設に入れて
しまった。 |
ギャングのボスが、「赤ん坊を取り戻してやる」と
言って、可愛い人に近づいた。その様子をボスの愛人である孤独な女が目撃していた。彼女も工場での職を失った者だった。
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ボスが可愛い人の家に入り込み、手籠めにし
ようとした。出所した青年が駆けつけてボスと争っている時に、孤独な女がボスを撃ち殺して逃走した。青年が犯人と間違われて逮捕され、裁判で死刑の判決が
下された。
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事件に疑念を持った刑事が可愛い人と一緒に
州知事を訪ね、死刑執行の猶予を求めたが断られてしまった。良心の呵責に悩んで可愛い人の後をつけていた孤独な女は、自分が真犯人であることを刑事に告白
した。3人は州知事
の乗った列車を車で追った。
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真相を知った州知事は刑の執行中止を決定し
たが、既に青年の死刑は執行されようとしていた…。
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< ユダヤ篇 >
古代のエルサレム。ガラリヤのカナの婚礼に招
待されたイエス・キリストを、パリサイ人(ユダヤ教の一派で偽善者とされる)が軽蔑の目で見てい
た。水が葡萄酒に変わる最初の奇蹟。
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パリサイ人が、姦通を働いた女に石を投げて
いた。キリストが言った。
「罪を犯してない者が石を投げるべし」。そして、女に告げた。「私もあなたも咎めない。二度と罪を犯すな」。
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ピラトの裁判の結果、イエス・キリストはゴ
ルゴタの丘で十字架に磔とされた…。
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< 中世篇 >
1572年のパリは、カ トリック派とユグノー派
(当時のプロテスタント派)の内乱状態であった。国王シャルル9世がユグノー派のコリニー提督を寵愛しており、カトリック派は不満を抱いていた。国王の妹マルグリッドがユ
グノー派のアンリ公と結婚をして、両派の対立の融和を図ったが…。
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カトリック派が国王にユグノー派の惨殺命令
書への署名を迫った。国王は拒否していたが、母カトリーヌ・ド・メディチや弟ダンジェー公が、カトリック派がユグノー派に惨殺されたニーム事件などを引き
合いに署名を迫り、ついに押し切られて署名してしまった。 |
ユグノー派の娘ブラウン・アイズと恋人のラ
トゥールが婚約し、結婚公告は明朝、聖バルテルミの祝日の朝と決まった。その日の夜、ブラウン・アイズの家の戸口には、ユグノー派であるこ
との印がつけられていた…。 |
聖バルテルミの祝日の朝。パリの町でカト
リック派によるユグノー派の惨殺が始まった。ブラウン・アイズの家には、かつて彼女にふられた傭兵が仲間たちと共に押し入ってきた。婚約者のラトゥールは
ブラウン・アイズの家へ向かったが、行く手を阻まれた。
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ラトゥールが漸くブラウン・アイズの家に着
いた。しかし、彼女は傭兵によって殺されていた。その後、ラトゥールもカトリック派の兵士の銃により命を落とした。
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紀元前539年、ベルシャザル王時代のバビロン。山の
娘は、ベル教司祭の従者ラプソードから求愛されたが相手にしな
かった。 |
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バビロンの城門が開かれ、女神イシュタルの像が運ばれてきた。ベル教の司祭は、イシュタル神が崇拝されるのを見
て、自分の宗教的権威の失墜を自覚し、再建を決意した。 |
山の娘は、喧嘩をした兄によって裁判にかけ
られ、判決により、結婚市場で競売に出された。しかし、気性の激しい山の娘には、持参金を吊り上げても買手が現れなかった。その時、ベルシャザル王が現
れ、山の娘に恋愛・
結婚の自由を与える
印章を授けた。山の娘はペルシャザル王に永遠の忠誠を誓った。 |
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ベル教の司祭と密かに手を結んだ宿敵キュロス
率いるペルシャ軍が、バビロンに攻め寄せて来た。山の娘も戦いに赴いた。 |
バビロン軍は城門を閉め、城壁の上から敵を
迎え撃った。ペルシャ軍は移動タワーで城壁を攻めてきた。ベルシャザル王最愛の姫と王の父ナボニドス
は、イシュタル神に勝利の祈りを捧げていた。
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バビロン軍は火をはく車で敵の移動タワーを
撃退し、戦いに勝利した。
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バビロン宮殿とその中庭では、勝利を祝う宴
が何日も続いていた…。
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ベル教の司祭に馬車の用意を命じられたラプ
ソードは、キュロスに会いに行くことを山の娘に話した。山の娘は司祭の行動を怪しみ、後を追った。
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ベル教の司祭が、
「今が攻め時」とキュロスに進言。ペルシャ軍が再び攻めて来ることを知った山の娘は、ベルシャザル王へ知らせるため馬車を走らせた。
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宮殿に戻った山の娘は、宴で酔った男たちに
捕まり、王への報告が遅れてしまった。王が山の娘の話を疑っている間にペルシャ軍が城門から侵入してしまった。
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山の娘は敵の矢に倒れた。ベルシャザル王は
捕虜の恥辱を受けるのを避け、姫と一緒に自害した…。かくして、栄華を誇ったバビロンは崩壊した。
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…
現代。青年の死刑執行は間一髪のところで回避された。その後、夫婦のもとに赤ん坊も戻された。
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真の愛が永遠の平和をもたらす…
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◆ 主な出演者など
可愛い人
メイ・マーシュ |
孤独な女
ミリアム・クー
パー |
ブラウン・アイズ
マージョリー・ウィルソン |
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・メイ・マーシュ Mae Marsh (1894-1968)
代
表作:『國民の創生』(1915年)、
『イントレランス』(1916年)
後年、ジョン・フォード監督の 『怒りの葡萄』(1940年)、『荒野の決闘』(1946年)、『静かなる男』(1952年)等にも端役で出演した。
・ミリアム・クー
パー Miriam Cooper
(1891-1976)
代
表作:『國民の創生』(1915年)、
『イントレランス』(1916年)
1916年にラオール・ウォルシュ監督と結婚。同監督の作品に数多く出演したが、1924年に引退。ウォルシュ監督とは1926年に離
婚した。
・マージョリー・
ウィルソン Margery Wilson (1896-1986)
代
表作:『イントレランス』(1916年)
1922年までに約50本の映画に出演。最後の出演作では監督も務めた。 |
・「ゆるやかな四つの川が次第に近づ
き、流れも勢いも増しながら、やがて合流して大河となる」(グリフィス)一
大叙事詩。
(右の写真)D.W.グ
リフィス監督 |
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