20世紀・シネマ・パラダ イス

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     静かなる男
     The Quiet Man
     監督:ジョン・フォード
     (1952年/アメリカ)
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 ジョン・ フォード監督の名作ヒューマン・コメディ

 アイルランドのキャッスルタウン駅に到着した汽車から1人の男が降り立った。幼い頃に母親 とアメリカへ移住したショーン・ソーントン生 まれ故郷に帰って来たのだ。
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 ショーンは子供の頃の彼を知るミケリーンの 荷馬車で生家のあるイニスフリー 村へ向かった。
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 道中、ショーンは羊を追っている美しい女性に目 を奪われた。その後に立ち寄った教会で彼女を見つけたショーンは声を掛けた。女性の名はメアリー・ケイト・ダナハー。 ショーンは一目惚れした…。
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 ショーンは空き家となっていた生家を村の資産家で後家のティ ランから買い取ったが、この事で、メアリー・ケイトの兄レッド・ウィル・ダナハーに目の仇とされてしまった。その家はダナハー家の地所に隣接しており、レッド・ウィルも手に 入れたがっていたのだ。また、レッド・ウィルはティランに惚れており、彼女が自分よりもショーンを優遇したことも癪に障ったのだ。
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 その夜。ショーンがバーで黒ビールを飲んでいるとレッド・ウィルが絡んできた。危うく喧 嘩になりかけたが、ロナガン神父が仲裁に入り、その場を治めた。
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 ショーンが村で生れた男だと 知った村人たちは彼を歓迎した。ただ一人レッド・ウィルを除いて…。 The_Quiet_Man-7

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 その夜。ショーンが生家へ行くと、誰もいないはずの空き家の煙突 から煙が出ていた…。





  


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 『静かなる男』 予告編



  主な出演者など

The_Quiet_Man-30 ショーン・ソーントン役ジョン・ウェイン
メアリー・ケイト役モーリン・オハラ
ミケリーン役バ リー・フィッツジェラルド
レッド・ウィル役ヴィ クター・マクラグレン
ロナガン神父役 … ワード・ボンド
ティラン役 … ミルドレッド・ナトウィック
プレイフェア牧師役 … アーサー・シールズ

 ・アイルランド移民の子であるジョ ン・フォード監督が、自身のルーツへの郷愁を込めて、詩情豊かに描いたヒューマン・コメディの名作。1936年に原作の映画化権を取得して以来、 16年かかって念願の作品を撮り終えたフォード監督は、スタッフを前にして、「いつ引退してもいい」と語ったという。
 (左の写真)撮影時。左から、ジョン・ウェイン、フォード監督、アーサー・シールズ
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The_Quiet_Man-32  ・フォード監督の兄フランシス・フォードも村の長老ダン・トビン役で出演。予算の都合上、 ジョン・ウェインは通常よりも安いギャラで出演した。
 (左の写真)撮影時。左から、モーリン・オハラ、フランシス・フォード、ジョン・ウェイン、バリー・フィッツジェラル ド

 ・アカデミー賞では、作品賞、助演男優賞(ヴィクター・ マクラグレン)等、7部門でノミネートされ、監督賞、撮影賞(カラー部門)の2部門で受 賞。リパブリック社にとって、アカデミー賞作品賞にノミネートされた唯一の作品となった。ジョン・フォード監督は史上最多となる4度目の受賞となったが、 授 賞式はいつもの通り欠席し、代理人としてジョン・ウェインがオスカー像を受け取った。
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 ・強風が吹き込む空き家の中で、ジョン・ウェインとモーリン・オハラがキスするシーンは、 スティーブン・スピルバーグ監督の大ヒット作『E.T.』(1982年)の中でも使用されるな ど、映画ファンの記憶に残る名シーンとなった。


  ピック・アップ … ワード・ボンド

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 Ward Bond  1903〜1960(アメリカ)

 ・1903年、ネブラスカ州生れ。南カリフォルニア大学時代はフットボール選手として活躍(1931年 卒業)。同校同部に在籍していたジョン・ウェイン(1927年中退)よりも 4歳年上だが、大学では後輩になる。ジョン・ウェインとはエキストラ時代から20作以上で共演し、私生活においても親友だった。

 ・大学在学中の1928年からエキストラとして映画に出演。名脇役として、ジョン・フォー ド、フランク・キャプラハ ワード・ホークスといった巨匠たちの名作に数多く出演した。てんかんの持病を抱えていたため、主役を避けていたらしい。
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『風と共に去りぬ』(1939年)
右から、レスリー・ハワードクラーク・ゲーブル
ワード・ボンド、オリヴィア・デ・ハヴィランド

『ヨーク軍曹』(1941年/監督:ハワード・ホークス)
ゲーリー・クーパー(左)と
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『荒野の決闘』(1946年/監督:ジョン・フォード)
ヘンリー・フォンダ(右)と
『素晴らしき哉、人生!』(1946 年/監督:フランク・キャプラ)
ジェームズ・ステュアート(右)と
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『静 かなる男』(1952年/監督:ジョン・フォード)
モーリン・オハラと
『リオ・ブラボー』(1959年/監督:ハワード・ホークス)
ジョン・ウェイン(右)と

 ・生涯で200作以上に出演したが、その内の13作品がアカデミー賞作品賞の候補作品。

 ・1960年57歳で他界。葬儀では、ジョン・ウェインが弔辞を述べた。

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