20世紀・シネマ・パラダ イス

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Mr. Deeds Goes to Town

     オペラハット
     Mr. Deeds Goes to Town
     監督:フランク・キャプラ
     (1936年/アメリカ)
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  キャプラ 監督が2度目のオスカーを獲得したヒューマン・コメディの名作

 ニューヨークの大富豪センプル氏が事故で急死した。誰が莫大な遺産を相続するのか? マスコミが騒ぎ立てた。 Mr.Deeds-1

 故人の顧問弁護士のシダー広報担 当のコッブ、帳簿係の3人は、マスコミの目を避け、田舎町マンドレーク・フィールズに住んでい る 故人 の甥っ子ディーズに会いに行った。
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Mr.Deeds-3  ディーズは気さくな性格で町の人気者。友人と小さな工場を経営しているほか、絵ハガキに詩 を書いて生計を立てていた。趣味はチューバを 吹くことで、町のブラスバンドの一員でもあった。

 ディーズは会ったこともない伯父から2,000万ドルもの遺産を相続することになり、町の 人々に見送られながらニューヨークへ旅だった。
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 シダーは故人の資産から密かに50万ドルを横領して いた。また、故人のもう一人の甥っ子センプルと彼の妻は、あてにしていた遺産をディーズに独り占めされ、何とかしようと企んでいた…。

 マスコミは、一夜にして大富豪となった世紀の棚ぼた男ディーズの情報を得ようと躍起になっ て いた。
 敏腕女性記者ベイブは、ディーズ のスクープ記事を書けば1ケ月の有給休暇を与えるとの編集長 の言葉を引き出し、俄然やる気を出していた。
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 大富豪となったディーズのもとへは、金目当ての様々な連中が訪ねて来ていた。
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 資産管理の全権委任を再び 取りつけようとするシダーや、赤字の補填を目論む オペラ理事会の申し出などを、ディーズは全て保留とした。
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 ある晩。ディーズは、コッブが手配していたボディ・ガードを部屋に閉じ込め、1人で外出し た。屋敷の外で待機していたベイブは、ディーズの目の前で行き倒れの芝居を演じて、彼に近づくことに成功した。
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Mr.Deeds-11  ディーズは、名前をドーソンと 偽ったベイブをレストランに連れて行った。

 2人は、高名 な作家や詩人の一行との同席を許されたが、ディーズは絵ハガキ詩人であることを笑われ、馬鹿にした作家を殴り倒した。そ して、そんなディーズを気に入ったと言う詩人に誘われ、夜の町へと繰り出していった…。
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 翌日の新聞。「シンデレラ男、酒を飲み羽目を外す」、「絵ハガキ詩 人はチューバを吹きながら詩作に耽る」、「深夜の路上で馬に大量のドーナッツを食べさせる」等々。
 編集長はベイブのスクープ記事に大満足し、密着取材を命じた。
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Mr.Deeds-15  2日酔いで昼近くに執事のウォルターに 起こされたディーズ。泥酔したため記憶がないと言うディーズに、ウォルターが前夜の様子を語った。
 詩人と2人で、「自然に返れ」と叫びながら、パンツ1枚になっていたところを警官に保護され、屋敷まで補導された、と。

 新聞を読んだコッブが血相を変えてやって来た。ディーズはコッブの助言に従い、誰とも会わ ないとウォルターに告げた。ただ1人、ドーソン嬢を除いて…。
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 ディーズはドーソンに名所案内をしてもらい上機嫌だったが、バスの乗客が「シンデ レラ男」に気付き、悪口を囁くのを聞いて顔が曇った。「あの記事を書いたやつをぶっ飛ばしてやりたい」。
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 その頃、シダーは、ディーズの相続を妨害できると言って訪ねて来たセンプル夫妻と面談して い た。

 ディーズ 「なぜ人はあんな記事を喜ぶんだ…。人を傷つけるのが何で 嬉しい?」。 「ここの連中は人間の生き方を忘れている…。僕は故郷の方がいい…」。
 ドーソンは、子供の頃に父親からドラムを習ったと言って、「スワニー河」を唄い出した。
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youtube  ♬  スワニー河 」 と ♬  ユー モレスク 」 の合唱シーン




 ベイブはディーズの善良さに惹かれはじめ、ためらいながらも記事を書き続けていたが、つい に耐えられなくなった。ベイブが姿を消そうと決意した矢先、ディーズが訪ねて来た。
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 ディーズは故郷へ帰ることに決めたと告げ、プロポーズの言葉が書かれた詩をベイブに手渡し た。
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 翌日。ベイブは会社を辞めてディーズに全てを打ち明ける決心をしていた。その頃、ディーズ はドーソンとの昼食の準備中。プロポーズの返事を聞くことになっていた。
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 ドーソンの正体を知ったコッブが慌ててディーズのもとへやって来た。ドーソンが実は敏腕女 性記者で、「シンデレラ男」の名付け親であると報告した。
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 ディーズは新聞社へ電話をかけた…。
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 傷心のディーズは1人で故郷へ帰ることを決意したが、彼の邸宅に、農場を失い自暴自棄と なった農 夫 が ピストルを手に乗り込んで来た…。
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 数日後。ディーズが資産1,800万ドルを投じて巨大農場を開発することが発表された。 ディーズ邸には、農夫の募集に応募してきた失業者が殺到した。早く故 郷へ帰りたいディーズは、不眠不休で求職者との面接等をこなしていた。
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 ディーズ邸に保安官が乗り込んで来た。‟ディーズは精神錯乱により財産管理能力が無い”と の セ ンプル夫妻(代理人はシダー)の訴えが受理され、ディーズは病院に連行されてしまった。
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 病院に収容されたディーズは心を閉ざし、コッブが盛んに励ましても、一言も発しなくなっていた。
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 ベイブが面会を申し出たが拒否された。コッブ彼は絶望して誰の助 けも求めていな い。あんな善人をだましてさぞいい気分だろう。もう十分だ。手 を出すな」 。
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 ディーズが弁護人を拒否したままで、彼の健全性を審理する裁判が始まった。原告側のシダー は、ディーズの暴力を恐れて顧問を辞任したとうそぶき、ディーズの農民救済計画は、救民の士を夢見る病める心の産物だと糾弾した。
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 原告側の証人として呼ばれたベイブは、ディーズが正気であると主張しようとしたが、質問さ れた事に のみ応えるように注意を受けてしまった。
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 ディーズの事を彼が赤ん坊の頃から知っているフォクナー姉妹は、ディーズを「奇 変人」だと証言した。
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 著名な精神科医は、ディーズを躁うつ病であるとし、今は自己防衛が欠如したうつ状態だと主 張した。
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 審理開始以来、一言も発しないディーズ。このままでは病人、禁治産者と見なされてしまう が…。
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youtubelogo  『オペラハット』 予告編



  主な出演者など 

Mr.Deeds-56  ディーズ役 … ゲーリー・クーパー 
  ベイブ (ドーソン)役 … ジーン・アーサー 
 
コッブ役 … ライオネル・スタンダー 
 
裁判長役 … H・B・ワーナー 
 
編集長役 … ジョージ・バンクロフト


 ・アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、録音賞の5部門で ノミネートされ、フランク・キャプラ監督が、『或る夜の出来事』(1934年)に 続き2度目の監督賞を受賞した。
 邦題の『オペラハット』は、原作(小説)のタイトル。
  (右の写真)左から、ジーン・アーサー、
 キャプラ監督、ゲーリー・クーパー

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 ・キャプラ監督は、ディーズ役にはゲーリー・クーパーしかいないとして、彼のスケ ジュールが空くまで半年も撮影を待機していた。
 クーパーは監督の期待に応える好演。デビュー当時は大根役者呼ばわりもされたが、本作 で初めてアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。
 (左の写真)キャプラ監督、ゲーリー・クーパー

 ・ヒロイン役はキャロ ル・ロンバードが決まっていたが、撮影開始直前に辞退して、『襤褸と宝石』 に出演。ジーン・アーサーの起用が決まったのは撮影開始後であった。
 デビュー以来、あまり作品に恵まれていなかったが、本作の大ヒットで人気爆発。キャプラ監督のお気に入りとなり、『我が家の楽 園』(1938年)『スミス都へ行く』(1939 年)でもヒロインを務めた。
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 ・ゲーリー・クーパーとジーン・アーサーは、大作西部劇『平原児』(1936年/監督:セシル・B・デミルで 再共演。
 クーパーはアーサーのお気に入りの俳優だったそうで、「彼はとても格好良いし、演技のし易い共演相手だった」 とのコメントを残している。