20世紀・シネマ・パ
ラダ
イス
◆ ヒッチコック監督とバーグマンが初めて組んだニューロティック・サスペンスの傑作
仕事一筋で恋愛には無頓着な精神科の女医ピー
ターセンが勤務している治療所は、20年間その職にあったマーチソン所長が理事会によって更迭され、新任所長のエド
ワーズ博士を迎えた。 |
ピーターセンとエドワーズは初対面の時から惹かれ合った。 |
夜中。寝つかれないピーターセンが図書室へエドワーズの著書を取りに行くと、隣の所長室か
ら灯りが漏れていた。部屋を訪ねたピーターセンと迎えたエドワーズ
はお互いの気持ちを告白し、唇を重ねた。だが、ピーターセンの縞模様のバスローブを見た途端、エドワーズは気分を悪くしてしまった…。 |
自殺を図った患者の手術中にエドワーズが発作を起こして倒れてしまった。 |
ピーターセンは、エドワーズが寄こした手紙と著書のサインの文字が違うことから、彼が
ニセ者であると気付いた。目を覚ました彼は、博士を殺して身代わりになったが、自分が何者なのか全く記憶が無いと告白した。 |
彼のシガレット・ケースには「J.B.」
のイニシャルが記されていた。ピーターセンは彼の潔白を信じ、記憶喪失の治療を行うことを約束した。 |
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彼がピーターセンに置手紙を残して治療所から姿を消した。エドワーズ博士の
助手が訪
ねて
来て、彼がニセ者であったことが皆に知れ渡ってしまった。
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行方不明の博士に成りすましていた彼は、重要参考人として警察に追われる身
となった。彼の身を案
じたピーターセンは、彼が潜伏しているホテルへ向かった。
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記憶喪失の治療に取り掛かったピーターセンは、彼の左手に火傷の痕があり、
それが記憶を呼び戻すきっ
かけ
になるかもしれないと気づいた。
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ピーターセンも無断で治療所を後にしていたため新聞に顔写真が載り、ホテルの従業員に気づ
かれてしまった。やむなく2人はホテ
ルから抜け出した。
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ロチェスターにいるピーターセンの恩師ブルロ
フ博士の家へ向かう途中、彼はかつて軍隊に所属しており、ローマでの空中戦の時に火傷を負ったことを思い出した。
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ブルロフ博士の家には刑事たちが聞き込みに来ていたが、何も知らない博士は刑事たちを追い
返した。
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その日の夜。彼がベッドカバーを見た途端に発作に襲われた。ピーターセン
は、彼が白地の縞模
様を見ると発作に襲われることに気づいた。
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夜中に目を覚ました彼は再び発作に襲われ、手にカミソリを持ったまま階下の
ブルロフ博士のもとへ向かった。
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初対面の時から、彼が正常ではないと気づいていた博士は鎮静剤入りのミルクを
彼に飲ませ、難を逃れた。
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翌朝。博士は警察へ連絡するようにピーターセンを諭したが、彼女が彼を想う
気持ちに押し切られ、治療に協力することになった。
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博士とピーターセンは夢判断の治療を試み、彼が発作に襲われる白地の縞模様
は雪とスキーの
跡であると気づき、彼はそこがガブリエル谷のスキー場であることを思い出した。
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記憶を呼び戻すには現場へ行くのが一番だが、彼がスキー場で発作を起こせば
ピーターセンを殺してしまう不安が拭い切れない。しかし、彼を信じているピーターセンはスキー場へ同行することを譲らなかった。
その頃、ロチェスターの刑事たちはピーターセンの手配写真を見て、ブルロフ博士宅で会った女性だと気づいていた。
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ガブリエル谷に着いたピーターセンと彼はスキー場の斜面を滑走していき、崖
の直前まで来た時、彼が全ての記憶を
取り戻した。
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彼の名はジョン・バランタイン。
子供の頃に事故で弟を殺めてしまったトラウマを抱えていた。戦争で負傷
した後、エドワーズ博士と知り合い、精神病治療の一環としてスキーに行ったが、目の前で博士が崖から転落してしまった。ジョンは過去の罪責感から逃れ、博
士の死を忘れるため
に、無意識のうちに博士に成り代ってしまったのだった。
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万事解決と喜んだ2人だったが、発見された博士の遺体には銃で撃たれた跡があり、ジョン
は殺人容疑で投獄されてしまった…。
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『白い恐怖』 予告編
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◆ 主な出演者など
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・幻想的な夢のシーンは、シュールリ
アリズムの代表的な画家サルバドール・ダリがデザインし、約20分の映像が撮影されたが、最終的には大幅にカットされた。
(左の写真)左から、グレゴリー・ペック、イングリッド・バーグマン、サルバドール・ダリ
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・アカデミー賞では、作品賞、監督賞、助演男優賞(マイ
ケル・チェーホフ)など6部門でノミネートされ、作曲賞を受賞。同年、バーグマンは 『聖メリーの鐘』、ペックは『王国の鍵』
で、各々主演賞の候補となっていた。この年は、作品賞受賞作『失われた週末』(監督:ビ
リー・ワイルダー)もヒットし、ニューロティック(異常心理)映画がブームとなった。
(右の写真)左から、ペック、バーグマン、ヒッチコック監督
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・アカデミー賞を受賞した作曲家のミクロス・ローザは、『深夜の告白』(1944年)、『失われた週末』、『殺人者』(1946年)、
『二重生活』(1947年)等の音楽も手掛け、観客を不安に陥れるサスペンス映画音楽の第一人者として活
躍した。
(左の写真)手前の4人。左から、ノーマン・ロイド、レオ・G・キャロル、グレゴリー・ペック、イングリッド・バーグ
マン
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・グレゴリー・ペックは、撮影中にイングリッド・バーグマンと恋愛関係になっていた
ことを、バーグマンが亡くなってから5年後に告白したという。
(右の写真)グレゴリー・ペック、イングリッド・バーグマン
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◆ ヒッチコック監督 お約束のカメオ出演シーン
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・予告編でも登場するシーンだが、ホテルのエレベーターから出て来る宿泊客?
として出演。右手にはヴァイオリンのケース、左手には煙草を持っての出演。今ではあり得ないが、当時はホテルのエレベーターの中でも喫煙が許されていたん
ですね。
(左の写真)ヒッチコック監督のカメオ出演シーン
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こんな医者なら診てもらいたい!? |
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