20世紀・シネマ・パラダ
イス
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十戒
The Ten Commandments
監督:セシル・B・デミル
(1956年/アメリカ)
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◆ 旧約聖書
最大の英雄モーセの物語
古代エジプト。奴隷のヘブライ人の救世主が誕生したとの占星により、ヘブライ人の男の赤子
は全て殺すよう命じられた。ヨシャベルは我が子の命を守るため、赤子を籠に入れてナイル川に流
した。
赤子は王
女ベシアに拾われた。ベシアは赤子がヘブライ人であると知りつつ、モーセと名付け、自分の子として育てた…。 |
時は流れ、エジプトはセティ1世の
治世。立派な王子(セティ1世の甥)に成長したモーセがエチオピア王国を制圧して凱旋した。セティ1世
はモーセに都市の建設を、実子のラメセスにはヘブライ人の救世主を捕らえるように命じた。 |
モーセかラメセスのどちらかが次の王になり、王となった方がネフレテリを妃にすることが決まっていたが、ネフレテリはモーゼを愛していた。ラメセスは、金のためなら
平気で仲間を売るヘブライ人のダタンを雇い、救世主を探し出すよう
に命じていた。 |
慈悲深いモーセはヘブライ人からの人気も高く、都市は順調に建設され、セティ1世がモーセ
に寄せる信頼はラメセスよりも高かった。
モーセの出生の秘密を知る侍女のメムネットは、奴隷の子が王になることを危惧し、ネフレテリ
に秘密を暴露したが、ネフレテリに殺されてしまった。 |
メムネットの死がきっかけで、モーセは自分の出生の秘密を知り、奴隷のヘブライ人として生
きることを選んだ。 |
ヘブライ人の水汲み娘リリアがエジプトの総督に捕らわれ、彼女を救出しようと
した恋人のヨシュアも捕まった。モーセは総督を殺し
てヨシュアを助け、ヨシュアから救世主だと称えられたが、その様子をダタンが目撃していた。 |
ダタンは情報をラメセスに売り、総督の地位とリリアを手に入れた。モーセは捕らわれ、セ
ティ1世の前に引き出された…。 |
砂漠に追放されたモーセは、放浪の末にシナイ山の麓に辿り着き、その地で牧羊民族の娘セフォラと結婚した。その頃、エジプトではセティ1世が死亡し、ラメセスが王となっていた。
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モーセは子宝にも恵まれ平穏な日々を送っていたが、ある日、ヨシュアが助けを求めに来た。
神が宿るシナイ山の光に導かれ、頂へ登ったモーセは、‟ヘブライ人を解放せよ”との神の啓示を受けた。
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モーセは兄のアロンを従えて王
宮に乗り込み、ヘブライ人の解放を求めた。杖をヘビに変えてみせ、神の力を示したが、ラメセスは要求を拒んだ。その夜、モーセはネフレテリの誘惑を拒み、
彼女の恨みを買った。
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モーセとラメセスの交渉は数回に及び、その都度、モーセは神がエジプトにもたらす災いを預
言した。エジプトの重臣たちは恐れをなし、ラメセスも屈するかと思われたが、ネフレテリの叱咤により持ちこたえていた。
(モーセの十災) @ナイル川の水が血に変り、水が飲めなくなり、魚
が死ぬ A蛙の大量発生 Bぶよの大量発生 Cあぶの大量発生 D疫病
で家畜が死ぬ E腫れものの流行
F雹が降る Gイナゴの大量発生 H暗闇が3日間続く I玄関に子羊の血が塗られていない家の長子を皆殺しにされる。
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モーセが10番目の災いを預言すると、ラメセスはモーセの息子を殺すように命じた。ネフレ
テリが一足先にモーセの妻子を遠方へ追いやり、モーセを再び自分のものにしようとした。モーセ 「死ぬのはラメセスの息子の方だ。神のご意思であ
る…」。夜の訪れと共に死の影がエジプト中を覆い始め、エジプト人の長子が次々と死んでいった。
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我が子が死の床に臥すに至って、ラメセスは敗北を認めた。翌日、数千のヘブライ人がモーセ
の後に従い、エジプトから旅立った。
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ラメセスは息子の死に打ちひしがれていたが、ネフレテリに鼓舞され、ヘブライ人を全滅にす
べく、戦車隊で後を追い始めた。
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ヘブライ人が紅海の前で休んでいると、エジプト軍が迫って来た。モーセが杖を振ると巨大な
火柱が出現し、エジプト軍の進軍を防いだ。そして、モーセが海に向かって叫ぶと、紅海が割れて陸地が現れた…。
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『十戒』 予告編
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◆ 主な出演者など
・ダタン役
… エド
ワード・G・ロビンソン
・セティ1世役 … セドリッ
ク・ハードウィック
・ヨシュア役 … ジョン・デレク
・リリア役 … デブラ・パジェット
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・セフォラ役
… イヴォンヌ・デ・カーロ
・ベシア役 … ニナ・フォック
・総督役 … ヴィンセント・プライス
・ナレーション … セシル・B・デミル |
・重鎮セシル・B・デミル(製作・監督・ナレーション)が、
製作費1,350万ドル(48億6千万円:当時)という空前絶後の巨費を投じて撮ったスペクタクル史劇。
『風と共に去りぬ』に次ぐ歴代第2位(当
時)、2018年現在でもインフレ調整後の興行成績では歴代第7位という記録的な大ヒット作品となった。
(右の写真)『十戒』撮影時のセシル・B・デミル監督
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・デミルは撮影途中に心臓発作でダウンし、数日間休養を余儀なくされた。次に監督する
予定だったユル・ブリンナー主演(チャールトン・ヘストンも出演)の『大海賊』(1958年)は、体調不良のため製作総指揮にまわり、義理の息子だったアンソニー・クインが監督を務めた。結果として、『十戒』
が最後の監督作品となった。(左の写真)『十戒』撮影時。デミル監督(左)、チャールトン・ヘストン |
・デミル監督曰く、「ミケランジェロが彫刻した聖書の人物にそっくり 」
ということでモーセ役に抜擢されたチャールトン・ヘストン。映画の冒頭に登場する赤ん坊のモーセは、ヘストンの実の息子(当
時生後3ヶ月)が起用された。
(右の写真)撮影時。左から、ジュディス・アンダーソン(メムネット役)、息子を抱いているチャールトン・ヘストン、
ニナ・フォック(ベシア役)。
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・アカデミー賞では、作品賞など7部門でノミネートされたが、受賞は特殊効果賞のみに留
まっ
た。
当時の映画人の創意工夫を凝らした特撮、中でも紅海が割れるシーンは圧巻。
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1.主が唯一の神であり、他に神があってはならない
2.偶像を作ってはならない
3.神の名をみだりに唱えてはならない
4.安息日には仕事をしてはならない
5.父母を敬うこと |
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6.殺してはならない
7.姦淫してはならない
8.盗んではならない
9.偽証してはならない
10.隣人の所有物をむさぼってはならない |
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