20世紀・シネマ・パラダ
イス
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にがい米
Riso Amaro
監督:ジュゼッペ・デ・サンティス
(1949年/イタリア)
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◆ 多くの
ニュー・フェイスを輩出した戦後イタリアの大ヒット作
5月初旬。田植えに向かう季節労働者たちで溢れるトリノの駅。宝石泥棒のウォルターは恋人のフランチェスカに
盗品を手渡し逃亡した。ヴェルチェッリ行きの出稼ぎ専用車に乗ったフランチェスカは、乗り合わせたシルヴァー
ナに誘われ農場へ向かった。 |
農場の宿舎に到着した。フランチェスカは宝石を盗まれた挙句、雇用契約を交わしていない者
は帰れと言われてしまった。盗人はシルヴァーナだ。彼女は刑事に追われているウォルターとフランチェスカが一緒のところを目撃していたのだった…。 |
契約を交わしていない労働者は他にも多くいた。彼女たちは水田に潜り込み、正規の労働者た
ちに
負けぬよう田植え作業に取り組み始めた。 |
シルヴァーナがけしかけ、正規組と潜り組が取っ組み合いの喧嘩を始めたが、近場でキャンプ
を張っている軍隊のマルコ軍曹が喧嘩
を収めた。 |
マルコに諭され、シルヴァーナは宝石をフランチェスカに返した。 |
マルコはシルヴァーナに魅かれたが、シルヴァーナは駅で見かけたウォルターのことが気に
なっていた。そして、フランチェスカはマルコに好意を寄せていた。
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夜。シルヴァーナが勝手に持ち出した宝石を身につけてダンスに興じていると、ウォルターが
姿
を現した。
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シルヴァーナとウォルターが踊っているとマルコが止めに入り、ウォルターと殴り合い
になった。殴り合いの後、「宝石を取り戻したわ」と言い寄ってきたフランチェスカにウォルターが言い放った。「それはイミテーション
だったん
だ」。
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マルコはシルヴァーナが犯罪に巻き込まれることを案じて忠告したが、彼女は耳を貸
さなかった。
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雨の日が続き、出稼ぎの女たちは宿舎に釘づけとなっていた。シルヴァーナは倉庫の屋根裏に
潜んでいるウォルターを発見し、遂に関係を持ってしまった。
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田植えの最終日を迎えた。ウォルターは倉庫の米を盗む準備を進め
ており、シルヴァーナに協力を求めた。米は出稼ぎ労働者
たちへの報酬でもある。ためらっているシルヴァーナにウォルターは宝石を差し出した。イミテーションだと知らない彼女は協力する気持ち
を固めた。
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2人の計画を知ったフランチェスカが盗みを止めるよう説得に来た
が、ウォルターもシルヴァーナも聞き入れなかった。
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フランチェスカはマルコに助けを求めたが断わられた。田植えの打ち上げパーティーが始ま
り、「米の女王」に選ばれたシルヴァーナの名前が呼ばれたが、彼女の姿は会場になかった。
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シルヴァーナが用水路の堰を切り、田んぼが水浸しになった。パー
ティー会場の皆が田んぼに向かった隙に、ウォルターは倉庫の米を盗み出していた…。
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『にがい米』 予告編動画
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◆ 主な出演者など
・『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1943年/監督:ルキノ・ヴィスコンティ)の脚本・助監督等を経て、『荒野の抱擁』(1947年)で監督デビュー
をしたジュゼッペ・デ・サンティスの2作目。本作で米アカデミー賞の原案賞にノミネートもされた。サンティス監督はその後、シルヴァーナ・マンガーノ主演
の『人間と狼』(1956年)、ラフ・ヴァ
ローネ主演の『女の部屋』(1960年)等を撮った。 |
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・公開当時、話題を独占したのがシルヴァーナ・マンガーノ。ほとんど無名の新人だった
が、サンティス監督に抜擢されてヒロインに起用された。圧倒的な肉体美から、日本では‟原爆女優”と呼ばれた。
本作の製作総指揮者ディノ・デ・ラウレンティスと結婚し、イタリアを代表する女優の1人となった。 |
・ヴィットリオ・ガスマン、ラフ・ヴァローネの2人も、本作の成功を足掛かりに大スターへ
の階段を駆け上がって行った。
ドリス・ダウリングは元々ハリウッド女優で、『失われた週末』(1945年/監督:ビリー・
ワイルダー)等に出演していたが、更なる活躍の場を求めてイタリアへ渡って本作に出演。代表作の1つとなった。 |
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ピック・アップ … ヴィットリオ・ガスマン
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Vittorio Gassman
1922-2000年 (イタリア)
・1942年に舞台俳優としてデビューし、1945年に銀幕デビュー。『にがい米』(1949年)が大
ヒットし、人気スターとなった。国際的な知名度では同時代のマルチェロ・マス
トロヤンニに引けを取るが、本国では同等の人気を誇り、イタリアのアカデミー賞と言われているダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の主演男優賞を最多
の7回受賞した。尚、喜劇俳優のアルベルト・ソルディも7回受賞し、マルチェロ・マストロヤンニは5回受賞している。 |
・ハリウッドにも進出し、『ラプソディ-』(1954
年)等に出演。
生涯で3度結婚したが、2番目の妻(1952〜1954年)はハリウッド女優のシェリー・ウィン
ター
ス。
『マンボ』(1954年/主演:シルヴァーナ・マンガーノ)で共演もした。 |
・『女の香』(1974年)でカ
ン
ヌ国際映画祭の男優賞を受賞。
・1996年、ヴェネツィア国際映画祭の栄誉金獅子賞を受賞。
・2000年、77歳で他界。
(右の写真)シェリー・ウィンタースと
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