20世紀・シネマ・パラダ
イス
◆ デヴィッ
ド・リーン監督 珠玉のラブ・ストーリー
アメリカ人のジェーン・ハドソンは、
夏季休暇を取得して水の都ヴェネツィアを訪れた。オハイオで秘書をしている彼女は独身のまま中年になってしまったが、夢のようなロマンスにめぐり会うこと
を期待してもいた。 |
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街へ出たジェーンは、鐘の音に導かれてサン・マルコ広場に辿り着いた。何故か今日は独り身
の
侘しさが募る。広場のカフェで物思いに耽っていると、後の席の男性が視線を注いでいた。ジェーンは慌てて席を立った。 |
翌日。ジェーンは骨董店でゴブレットを買い求めたが、その店の主人は昨日のカフェの男性
だっ
た。お互いに惹かれるものを感じあったが、動転したジェーンは買物を済ますと足早に店を後にした。 |
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夕方。ジェーンは男性に再び会えることを期待してサン・マルコ広場のカフェへ
行った。男性が現れたが、ジェーンに連れがいると思い違いして、挨拶を交わしただけで去ってしまった。 |
翌日。ジェーンは浮浪児のマロウ少年に案内され、再び骨董店を訪ねた。しかし、主人は不在
だった
上に、店をカメラに写している際、運河に落っこちてしまった。
ペンションへ戻り、着替えを済ませると、骨董店の主人が訪ねて来た…。 |
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ジェーンは、骨董店の主人レナードと
サン・マルコ広場でのコンサートを鑑賞した。別れ際、2人は口づけを交わし、明晩の8時に再会することを約束した。
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約束の晩。ジェーンは粧し込んで待ち合わせ場所へ赴いたが、レナードに妻子があることを
知り、その
場を立ち去った。
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ペンションへ帰ると、女主人が客のアメリカ人男性と逢びきしており、マロウ少年が2人の使い走りをして小遣いを稼いでいた。ジェーンがマロウ少年を叱って
いると、レナードがペンションへ訪ねて来た。レナードは妻とは別れるつもりだと語り、ジェーンを口説いた。2人は一夜を共に過ごした。
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2人はブラーノ島へ出かけ、夢のような日々を過ごしたが、ジェーンはある決意を固
めていた…。
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『旅情』 予告編
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◆ 主な出演者など
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・ジェーン役
キャサリン・ヘップバーン
・レナード役
ロッサノ・ブラッツィ
・フィオリーニ(ペンションの女主人)役
イザ・ミランダ
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・ブロードウェイで1952年10月から翌1953年5月まで上演された
「カッコウ鳥の頃」の映画化作品。舞台では当時54歳のシャーリー・ブースがヒロインを演じ、自身3度目のトニー賞を受賞した。
アーサー・ローレンツの戯曲をデヴィッド・リーン監督とH・E・ベイツの2人が脚色。リーン監督は映画史に輝く名作を何本も撮っているが、本作が1番の
お気に入りであったという。
(右の写真)デヴィッド・リーン監督。サン・マルコ広場をバックに
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* シャーリー・ブース …
初出演の映画『愛しのシバよ帰れ』(1952年)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したが、その後は数本の映画に出演しただけで、舞台での演技に専念した。
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◆ ピックアップ … ロッサノ・ブラッツィ
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Rossano Brazzi
1916-1994(イタリア)
・サンマルコ大学卒業後、弁護士となったが、学生時代から関心を抱いていた演劇の世界へ。1939年に銀幕デビューし、2枚目俳優として活躍。戦後はハ
リウッドにも進出した。彼が唄った『旅情』の主題歌「ヴェニスの夏の日」は大ヒットした。
・1994年、78歳で他界。
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