20世紀・シネマ・パラダ
イス
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捜索者
The Searchers
監督:ジョン・フォード
(1956年/アメリカ)
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◆ 本国で
No.1西部劇に選出
1868年、南北戦争が終結して3年後のテキサス。出征していたイーサン・エドワーズが数年ぶりに故郷の兄夫妻の家へ帰って来た。夫妻には3人の子供がいたが、もう1人
チェロキー族との混血の青年マーティン・ポーリーも一緒に暮らして
いた。彼は両親をコマンチ族に殺され
たところをイーサンに助けられ、その後兄夫妻に育てられていた。 |
翌日。牧師でもあるサム・クレイトン大
尉が率いるテキサス警備隊の一行が訪ねて来た。牛泥棒を追跡するためイーサンとマーティンも警備隊に加わったが、牛泥棒は警備隊をおびき出すためのコマン
チ族の罠だった。 |
イーサンは急ぎ引き返したが、兄夫妻と甥っ子は殺され、姪っ子のルーシーとデビーは連れ去られていた。イーサ
ンたちは葬儀を済ますと早々に姉妹の捜索に向かった。 |
コマンチ族と銃撃戦となり、味方に負傷者が出た。クレイトン大尉らは引き返したが、イーサ
ンとマーティン、ルーシーの恋人であるブラッド・ジョーゲンセンの3人は捜索を続けることに
なった。 |
イーサンの嫌な予感は的中し、ルーシーは殺されていた。恋人を失ったブラッドは1人でコマ
ンチ族に向い、命を落とした。イーサンとマーティンは2年近く捜索を続けたが、雪でコマンチ族の足跡を見失い、一旦引き返すことにした。 |
イーサンはジョーゲンセン家で、デビーの居場所を知っているという男からの手紙を受け取
り、
1人で差出人の所へ向かった。ジョーゲンセン家の娘ローリーはマーティンを愛しており、家に
残って欲しいと願っていたが、彼の気持ちを察し、自分の愛馬を提供した。マーティンはイーサンの後を追った。 |
手紙の差出人ファタマンの情報
により、デビーはコマンチ族のスカー酋長と北方の保留地に向かったことが判った。その夜、イー
サンの金貨に目が眩んだファタマンが仲間と襲って来たが、イーサンはこれを返り討ちにした。
旅の途中、マーティンはひょんなことから先住民の女性ルックを妻にしてしまったが、イーサン
からデビーの事を問い詰められたルックは姿を消してしまった。 |
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数ヶ月後、イーサンとマーティンは騎兵隊が討伐したコマンチ族の宿営地跡で、彼等のもとか
ら逃亡したルックの亡骸を発見した。2人は騎兵隊の本部を訪ね、捕獲された白人女性たちと面会したが、デビーはいなかった。その頃、故郷のテキサスでは、
ローリーが
いつ戻るかも分からないマーティンを待ち続けていた。
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イーサンとマーティンはニューメキシコで旧友のテキサス人モーズと再会した。そして、先住民と交易している男性を紹介され、コマンチ族の宿営地へと向かった。
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イーサンとマーティンは、スカー酋長のテントの中でデビーと5年ぶりに再会した。彼女は
すっ
かりコマンチ族の娘に成り果てていた。動揺したイーサンは交渉を明日に持ち越し、テントから立ち去った。
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イーサンとマーティンが野営の準備をしていると、デビーが駆け寄って来た。彼女は、助けが
来
なかったのでコマンチ族の娘として生きる覚悟を決めたと言い、2人に立ち去るよう哀願した。
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憤慨したイーサンがデビーを撃ち殺そうとしたが、マーティンがその前に立ちはだかった。
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その時、コマンチ族が襲撃して来てイーサンは肩を射抜かれたが、マーティンに助けられ、コ
マンチ族を退けることが出来た。イーサンは、万一の時は財産をマーティンに寄贈する旨を手帳にしたため、マーティンに読ませた。
マーティン 「デビーが生きているじゃないか」。 イーサン 「彼女はもう白人じゃない」。マーティンは手帳をイーサン
に叩きつけた。
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2人がテキサスへ帰り着いた晩、ローリーと郵便配達夫チャーリーの結婚式が執り行われようとしていた。ローリーはマーティンの帰りを待ちあぐねた上に、イーサ
ンとマーティンはファタマン殺しでお尋ね者となっていたのだった。
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マーティンとチャーリーが喧嘩を始め、結婚式は取り止めとなった。その時、騎兵隊員が訪ね
て来て、スカー酋長率いるコマンチ族が近くまで来ていることを知らせた。
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拉致されていたモーズからコマンチ族の居場所を知らされたイーサンたちは討伐に向い、マー
ティンもローリーの制止を振り切って後を追った。
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イーサンたちは夜明けに襲撃をかけることになった。マーティンが敵の陣営に潜入し、デビー
を救出することを願い出た…。
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『捜索者』 予告編
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◆ 主な出演者など
ローリー役
ヴェラ・マイルズ |
サム・クレイトン役
ワード・ボンド |
ブラッド役
ハリー・ケリー・ジュニア |
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・サタデー・イヴニング・ポスト誌に連載されたアラン・ルメイの小説「捜索者
〜復讐するテキサス人」の映画化作品。
本作に触発され、ジョン・ヒューストン監督が同じくアラン・ルメイ原作の
『許されざる者』(1960年)を撮ったと言われている。(右の写真)
撮影時。手前右から時計回りに、ドロレス・デル・リオ(本作未出演)、ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン、ジャック・ペニック、ジェフリー・ハン
ター
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・ナタリー・ウッドとラナ・ウッド
(子供の頃のデビー役)が姉妹で共演し、ハリー・ケリー・ジュニアとオリーブ・キャレー(ブラッドの母親
役)が親子で共演。ジョン・ウェインも息子のパトリック(騎兵隊員役)と共演した。
イーサンの兄嫁マーサを演じたドロシー・ジョーダンは、本作の製作者メリアン・C・クーパーの妻だった。
(左の写真)ジョン・ウェイン、パトリック・ウェイン
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・物語の主な舞台はテキサス州だが、撮影はジョン・フォード監督のお気に入りのロケ地だっ
たユタ州のモニュメント・ヴァレーを中心に行われた。カメラマンはフォード監督の『黄色いリボン』(1949年)で
アカデミー賞撮影賞を受賞したウィントン・C・ホック。撮影の舞台裏を記録したメイキング・ビデオも製作され、
その一部はDVDで観ることが出来る。 |
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・アカデミー賞にはノミネートされず、日本のキネマ旬報ベスト・テンでも30名近くの選
考委員の内、本作に投票したのは僅か5名で第20位。公開当時の評価は決して高いものではなかったが、現在では西部劇の金字塔的作品との評価が確立されて
いる。
AFI(アメリカ映画協会)が2008年に選定した「西部劇ベスト10」で第1位に選出された。
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◆ ピックアップ … ヴェ
ラ・マイルズ
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Vera Miles
1929
- (アメリカ)
・1929年、オクラホマ州で生れ、カンザス州で育った。
・1948年、ミス・カンザスに選ばれ、ミス・アメリカのコンテストで第3位に。これがきっかけとなり、1950年に銀幕デビュー。B級映画やTVドラ
マへの出演が続いていたが、『捜索者』でブレイクした。
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・ヒッチコック監
督の
お気に入りの女優の1人でもあった。『間違えられた男』(1957年)に引き続き、『めまい』(1958年)でもヒロインを演じる予定
だったが、妊娠のため降板。その後、『サイコ』(1960年)で
再起用された他、ヒッチコックのTV番組にも3回(1955年、1962年、1965年)出演した。息長
く活躍していたが、『多重人格』(1995年)を最後に引退した。
(右の写真)アルフレッド・ヒッチコック監督と
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