20世紀・シネマ・パラダ イス

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Psycho

     サイコ
     Psycho
     監督:アルフレッド・ヒッチコック
     (1960年/アメリカ)
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  異常心理スリラーの古典的名作

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 アリゾナ州フェニックス。不動産会社のOLマ リオンは、昼休みにホテルで恋人のサムと逢瀬していた。
 サムは離婚した妻への慰謝料の支払い等に追われ、再婚に躊躇していた。
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 昼休みが過ぎた。マリオンが会社へ戻ると、嫁ぐ娘の家を購入するという客が来社し、現金で 4万ドルを支払った。
  マリオンは4万ドルを預けに銀行へ行くことになった。しかし、彼女は自宅へ帰り、荷物をまとめるとサムの住むカリフォルニアへ向かって車を走らせた。道 中、道端に 停車して眠り込んでしまったところをパトロール中の警官に起こされた。ナンバーを見られたので中古車店で車を買い替えたが、その際、700ドルを使い込ん だ。
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 夜になると雨が降ってきて視界が悪くなり、たまたま目に留まったモーテルに宿を求めた。 モーテルの経営者は、隣接する丘の上の屋敷に住んでいるノーマンという青年だった。マリオンは 事務所の隣の1号室に案内された。
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 ノーマンはマリオンを食事に誘い、彼女が了承すると、食事の用意が出来たら呼びに来ると 言って屋敷へ戻っていった。
 暫らくすると、屋敷からノーマンと母親が激しく口論する声が聞こえて来た。母親がマリオン を屋敷へ招くことに反対していた…。 Psycho-8.
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 ノーマンが食事を運んで来た。マリオンは事務所の応接室で食事をしながら彼の身の上話を聞 かされた。5歳の時に父親が亡くなり、以来、母親と2人暮らしだという。「母は最良の友さ 」。その母親は、数年前に愛人が死んだことに より心を病んでいるという…。
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 食事が済み、マリオンは1号室へ戻った。するとノーマンは…。
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Youtube
 『サイコ』 予告編動画



   ◆ 主な出演者など

ノーマン役
マリオン役
ライラ役
サム役
ノーマンの母親 役
Anthony_Perkins Janet_Leigh Vera_Miles John_Gavin Mrs._Bates
アンソニー・パーキンス
ジャネット・リー
ヴェラ・マイルズ
ジョン・ギャヴィン
???

 ・原作は、作家のロバート・ブロックが、猟奇的な犯罪者として悪名高いエド・ゲインの事件 に着想を得て執筆した小説 「サイコ」 (1959年出版)
 ヒッチコック監督のアシスタント、マーガレット・‟ペギー”・ロバートソンがパラマウント社に小説の映画化権取得を打診したが却下されたため、ヒッチ コック監督が映画化権を取得した。
 (右の写真) アルフレッド・ヒッチコック監督。原作本 「サイコ」 を手に。
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 * マーガレット・‟ペギー”・ロバートソン …『めまい』 (1958年)、『鳥』 (1963年) 等も、彼女がヒッチコックに映画化を推奨したとされている。

Psycho-39  ・ ヒッチコックはパラマウント社のためにもう1本撮る契約が残っていた。同社が小説 「サイコ」 に難色を示したため、ヒッチコックは監督としての基本報酬を無にする代わりに、興行収益の60%を受け取る契約を交わし、TV番組 「ヒッチコック劇場」 の為に設立していたShamley Productions で映画を製作した。そして、パラマウント社の作品として配給された。
 (左の写真) ヒッチコック監督。マリオンのシューズを手に。
 * 前作 『北北西に進路を取れ』 (1959年/MGM社) のヒッチコック監督の報酬は25万ドル+興行収益の10%。製作費は約400 万ドル。

 ・TV番組 「ヒッチコック劇場」 がユニヴァーサル社とタイアップしていたこともあり、TVのスタッフが動員され、ユニヴァーサル社のスタジオで撮影された。その為、『見知らぬ乗客』(1951年) 以後、ヒッチコックの全作品を撮影していたカメラマンのロバート・バークスも本作には携わってい ない。
  (右の写真) 撮影時。妻のアルマ・レヴィル(隣)、娘のパトリシア(後)と。
  パトリシアはマリオンと同僚の不動産会社の社員役で出演した。 
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Psycho-35  ・製作費は約80万ドルに抑えられ、作品が大ヒットしたため、ヒッチコック監督は莫大な報 酬 (約1,500万ドル)を得た。
 初公開から数年後にユニヴァーサル社が作品の権利を買い取っており、同社のテーマパーク、ユニヴァーサル・スタジオ・ハリウッドには、本作のベイツ・ モーテルがある。
 (左の写真) 左から、ヒッチコック監督、アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー

 ・有名なシャワー・ルームでの殺害シーンは、ソール・バスが描いた絵 コンテに基づいて撮影された。また、作曲家バーナード・ハーマンの提案により、当初は予定になかったBGM (The Murder ) が入れられ、その抜群の効果に大満足したヒッチコックはハーマンに2倍の報酬を支払った、とのエピソードも。
 (右の写真) ヒッチコック監督とジャネット・リー
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Psycho-37  ・アカデミー賞では、監督賞、助演女優賞(ジャネット・ リー)、撮影賞(白黒部門)、美術監督・装置賞(白黒部 門) の4部門でノミネートされたが無冠に終わった。

 ・AFI (アメリカ映画協会) が選定した各種ランキングでの順位。
  「アメリカ映画100年ベスト100」 (1998年選定)で第18位。
  「スリリングな映画ベスト100」(2001年選定) で第1位。
   「ヒーロー&悪役ベスト100」 (2003年選定) でノーマンが悪役の第2位。
  「名セリフ・ベスト100」 (2005年選定) でノーマンの 「母は最良の友さ。
   A boy's best friend is his mother 」 が第56位。
  「映画音楽ベスト25」 (2005年選定) で第4位。
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 ・ヒッチコック作品が生んだ最大のキャラクター、ノーマン・ベイツ。彼がパクついているの はキャンデーコーンというお菓子 (決して鳥のエサではありません。念のため)で、アメリカではハロウィ ンの定番のお菓子となっているそうです。
 続編 『サイコ2』 (1983年)、『サイコ3 / 怨霊の囁き』 (1986年)、『サイコ4』 (1990年/TV映画) が製作され、その全てでアンソニー・パーキンスが主役のノーマンを演じた。
 * 原作者のロバート・ブロックも 「サイコ2」 (1982年) を執筆しているが、映画とは内容が異なる。
 (左の写真)  アンソニー・パーキンス。キャンディコーンを食べるのは彼のアイデアだった。

  ヒッチコック監督 お約束のカメオ出演シーン

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 マリオンがサムとの昼下りの情事を終え、会社に戻る場面で出演。気が付きましたか?
 (左の写真) 窓の外に写っているのがヒッチコック監督
 

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  ピックアップ … アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー

Anthony_Perkins-2  Anthony Perkins   1932-1992    (アメリカ)

 ・1932年、ニューヨーク生れ。父親はブロードウェイで活躍し、映画 『暗黒街の顔役』 (1932年/監督:ハワード・ホークス 等にも出演したオズグッド・パーキンス。アンソニーが5歳の時に亡くなった。

 ・スペンサー・トレイシー主演の 『The Actress (1953年) で銀幕デビュー。その後、
ブロードウェイの大ヒット劇 「お茶と同情」 で、ジョン・カーの後任として内気な青年を演じて好評を博し、2作目の映画 『友情ある説得』 (1956年/監督:ウィリアム・ワイラーでアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ た。
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Green_Mansions
『友情ある説得』 (1956年) ゲーリー・クーパー(左)と
『緑の館』 (1959年) オードリー・ヘップバーン
 ・『さよならをもう一度』 (1961年) で カンヌ国際映画祭の男優賞を受賞。演技には定評があったが、『サイコ』 以後、際立った作品には恵まれなかった。『サイコ』 での印象が強過ぎたと言われているが、本人は、その後のキャリアに支障をきたすと分かっていたとしてもノーマンを演じる、と語っていたという。
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『サイコ』 (1960年)
『さよならをもう一度』 (1961年) イングリッド・バーグマン
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『審判』 (1962年/監督:オーソン・ウェルズ) ジャンヌ・モロー
『オリエント急行殺人事 件』 (1974年/監督:シドニー・ルメット
 ・『サイコ3 / 怨霊の囁き』 (1986年) で は監督も務めた。
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『サイコ2』 (1983年)
『サイコ3 / 怨霊の囁き』 (1986年)
 ・私生活では、1973年に結婚した妻との間で2児を授かったが、彼は両性愛者だった。1992 年、エイズにより60歳で他界。

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Janet_Leigh-2  Janet Leigh   1927-2004    (アメリカ)

 ・1927年、カリフォルニア州生れ。アルバイトでモデルになった時の写真を目にしたノー マ・シアラーの推奨によりMGM社と契約。
 ヴァン・ジョンソン主演の 『The Romance of Rosy Ridge (1947年) で銀幕デビューし、大ヒットした 『若草物語』 (1949年) 等に出演。
 ・1951年、人気俳優のト ニー・カーティスと結婚 (1962年離婚)。『魔術の恋』 (1953年)、『ヴァイキング』 (1958年) 等、5作品で共演もした。
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『若草物語』 (1949年/監督:マーヴィン・ルロイ
エリザベス・テイラー(左)、マーガレット・オブライエン(中央)と

『黒い罠』 (1958年/監督:オーソン・ウェルズ)
チャールトン・ヘストン

 ・『サイコ』 (1960年) でアカデミー賞助演女優賞にノミネート。オスカーは逃したが、ゴールデン・グローブ賞の助演女優賞を受賞。シャワー・ルームで殺害されるシーンはキャリア のハイライトとなった。
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『サイコ』 (1960年)
『影なき狙撃者』 (1962年/監督:ジョン・フランケンハイマー)
フランク・シナトラ

 ・トニー・カーティスとの間で授かった2人の娘も女優となった。次女のジェイミー・リー・ カーティスとは 『ザ・フォッグ』 (1980年)、『ハロウィンH20』 (1998年) の2作品で共演。長女のケリー・カーティスは子供の頃に 『ヴァイキング』 (1958年) に出演した。2004年77歳で他界。
 
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