20世紀・シネマ・パラダ イス

国防総省ペンタゴンの作戦室に、マフリー大統 領、政府の高官、軍の首脳たちが集結した。 　タージドソン将軍は、残された時間 内で ‟R作戦” を中止させることはほぼ不可能である以上、アメリカの被害を最小限に止めるために、総力を挙げてソ連に先制攻撃を仕掛けるべきだと説いた。 　‟R作戦” を中止させる３文字の暗号はリッパー将軍しか知らない。マフリー大統領は、暗号を聞き出すため、陸軍の第23空挺師団をパープルソン空軍基地に向かわせ た。

B52爆撃機内。乗組員たちが避難キットを点検していた。 　　拳銃、非常食、医薬品、聖書付きロシア語会話辞典、100ドル分のﾙーブルと金貨、チューインガム９個、コンドーム１箱、口紅３本、 ストッキング３足。

ペンタゴンの作戦室。核戦争を回避するため、駐米ソ連大使サデスキーが招かれたが、彼が隠しカメラで室内を撮影したため、タージドソン将軍とひと悶着を起こしていた。

パープルソン空軍基地。第23空挺師団が向かって来たが、基地の兵士たちは相手がアメリカ 軍だとは思っていない。 　　「敵もやるな。米軍そっくりじゃないか。盗んだのかな？ 」 　　「払い下げ品だろう 」 　第23空挺師団が200メートル以内に近づいたので、基地の兵士たちは同胞に向かって発砲した。

爆撃機が攻撃目標地点に到着するまで１時間。ペンタゴンでは、マフリー大統領がソ連の首相 と電話で協議していた。大統領は、爆撃機の呼び戻しに失敗した場合、ソ連側で爆撃機を撃墜して欲しいと依頼した。 　その頃、パープルソン空軍基地では、軟禁されたマンドレイク大佐が、リッパー将軍のイカれた妄想話を聞かされていた。

米ソの電話協議は終わったが、最後に首相と会話したサデスキー大使が、ソ連が 「皆殺し装置」 を完成させたことを知らされたと告げた。すなわち、ソ連が核攻撃を受けたら、全世界を放射能の死の灰で包む装置が自動で爆発し、しかもその装置は解体する ことが出来 ないという。果たして、そのような装置が開発可能なのか？マフリー大統領は、兵器開発局の長官ストレンジラブ 博士に問い質した。

ストレンジラブ博士 (アメリカに帰化したドイツ人） は、「皆殺し装置」 は簡単な技術で開発できると断言した。 　　ストレンジラブ博士 「抑止力とは、敵に襲うことを恐れさせる技術だ。なぜ黙っていたのか 」 　　サデスキー大使　「月曜の党大会で発表の予定だった。首相は人を驚かすのが趣味だ 」

パープルソン空軍基地。第23空挺師団の攻撃に耐えられず、部下たちが投降したことを知っ たリッパー将軍は、暗号を聞き出すために拷問されることを恐れ、自ら命を絶った。

マンドレイク大佐は、リッパー将軍のメモ書きから、爆撃機を呼び戻す暗号を解明したが、部 屋に突入して来た第23空挺師団のグアノ大佐に、基地の暴挙の首謀者と間違われてしまった。

コング少佐率いるB52爆撃機は、迎撃ミサイルの攻撃を受け、CRM装置が破損。暗号の通 信も受け付けなくなり、燃料タンクも破損したため、低空飛行しか出来なくなった。

マンドレイク大佐は、グアノ大佐を説き伏せ、呼び戻し暗号を伝えるべく、基地内の公衆電話 からペンタゴンに電話をかけた。幸い、電話は通じたが、小銭が足りない。「コーラの自動販売機を撃って、小銭を取り出せ 」

爆撃機に呼び戻しの暗号が送信されてから間もなく、ペンタゴンの作戦室に管制塔から連絡が 入った。 　　「第843爆撃戦隊の全機より了解の応答がありました。但し、４機は撃墜された模様…」 　作戦室は歓喜し、強硬論を説いていたタージドソン将軍でさえ、神 に感謝の祈りを捧げた。

安堵したのも束の間、ソ連の首相から怒りの電話が入った。ソ連が撃墜したのは３機で、まだ １機がソ連の上空を飛行しているが、低空飛行なのでレーダーが利かないという。 　マフリー大統領は、爆撃機の攻撃目標がラプタのミサイル基地であることを告げた。「たったの１機だ。何としてもそちらで撃墜してくれ 」。

マフリー大統領から、爆撃機が目標に到達するか否かを問われたタージドソン将軍が答えた。 　　「我が軍の優秀な操縦士なら、レーダーを掻い潜っての低空飛行なんて朝飯前でさぁ 」

コング少佐のB52爆撃機は、燃料漏れが加速し、ラプタのミサイル基地まで到達出来ないこ とが判明したため、急遽、攻撃目標を近場のミサイル基地に変更した。 　目標地まであと僅か。爆弾投下の準備に入ったが、機器の破損により、爆弾倉が開かない。国家の危機を救うとの使命感に満ちたコング少佐は、何としても爆 弾を投下すると言って、爆弾倉に降りて行った…。

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