20世紀・シネマ・パラダ イス
ジョージ・C・スコット
George C. Scott
1927-1999 (アメリカ )
◆
代表作
或る殺人
Anatomy of a Murder
(1959年/アメリカ)
ハスラー
The Hustler
(1961年/アメリカ)
博士の異常な愛情
Dr. Strangelove
(1964年/英・米)
パットン大戦車軍団
Patton
(1970年/アメリカ)
イルカの日
The Days of the Dolphin
(1973年/アメリカ)
チェンジリング
The Changeling
(1980年/カナダ)
◆
アカデミー賞を辞退した個性派の名優
・
1927年
、ヴァージニア州生れ。高校卒業後の4年間を海兵隊で過ごした後、ミズーリ大学に入学。作家志望
だったが、学生演劇に出演して演技に魅了された。大学卒業後、地方の舞台で演技を磨き、ブロードウェイ・デビュー作 「
Comes a Day
」
(1958年)
でトニー賞の助演男優賞にノミネートされた。
その後、TVドラマへの出演を経て、
ゲーリー・クーパー
主演の 『縛り首の木』
(1959年)
で銀幕デビューした。
(
右の写真) 『縛り首の木』
・銀幕での2作目
ジェームズ・ステュアート
主演の 『或る殺人』
(1959年)
、3作目
ポール・ニューマン
主演の 『ハスラー』
(1961年)
でアカデミー賞の助演男優賞に、ブロードウェイ劇 「
The Andersonville Trial
」
(1960年)
でトニー賞の主演男優賞にノミネートされた。
『ハスラー』 でノミネートされた際、「
賞レースには参加したくない
」 と辞退を申し出たが、アカデミー協会は、「
ノミネートの対象となったのはジョージ・C・スコットという人間ではなく彼の演技である
」 との理由でノミネートを取り消さなかった。ちなみに、この年の助演男優賞は
『ウエスト・サイド物語』
のジョージ・チャキリスが受賞した。
『或る殺人』 (1959年) リー・レミックと
『ハスラー』 (1961年) ポール・ニューマンと
『秘密殺人計画書』(1963年/監督:
ジョン・ヒューストン
)
カーク・ダグラス
(右)と
『博士の異常な愛情』
(1964年/監督:
スタンリー・キューブリック
)
『黄色いロールス・ロイス』 (1964年)
シャーリー・マクレーン
、アート・カーニー(右)と
『天地創造』 (1966年/監督:ジョン・ヒューストン)
・第2次世界大戦時の米軍の英雄ジョージ・パットン将軍の生涯を描いた 『パットン大戦車軍団』
(1970年/監督:フランクリン・J・シャフナー)
でアカデミー賞の主演男優賞を受賞。やはり事前に辞退を表明していたが、アカデミー協会は前回と同様にノミネーションを取り消していなかった。製作者のフランク・マッカーシーが受け取ったオスカー像はパットン記念館に寄贈された。
(左の写真) 『パットン大戦車軍団』
・アカデミー賞について、「
あんなのは下らないお祭り騒ぎ…肉の品評会だ
」 と批判していたスコットは、授賞式の時間は自宅のTVでアイスホッケーの試合を観戦していたという。同作でニューヨーク映画批評家協会賞の主演男優賞を受 賞した時は辞退しなかった。アカデミー賞は、映画会社が繰り広げる宣伝合戦によって票の行方が左右されることが気に入らなかった理由の1つだったようであ る。
(右の写真) 『パットン大戦車軍団』
・翌年、『ホスピタル』
(1971年)
で、再びアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされた。
『ホスピタル』 (1971年/監督:アーサー・ヒラー)
『イルカの日』 (1973年/監督:マイク・ニコルズ)
・ブロードウェイの舞台劇 「ワーニャ伯父さん」
(1973年)
、「セールスマンの死」
(1975年)
、「風の遺産」
(1996年)
でトニー賞の主演男優賞にノミネートされたが、何れも受賞には至らなかった。尚、
「セールスマンの死」 では、舞台監督も務めていた。
『ヒンデンブルグ』 (1975年/監督:
ロバート・ワイズ
)
アン・バンクロフト
と
『チェンジリング』 (1980年)
トリッシュ・ヴァン・ディヴァーと
『ジェネシスを追え』
(1980年/監督:ジョン・G・アヴィルドセン)
マーロン・ブランド
(右)と
『タップス』 (1981年)
ティモシー・ハットン(左)、ショーン・ペン(右)と
・数多くのTVドラマにも出演し、アーサー・ミラー原作の 「代価」
(1971年)
でエミー賞の主演男優賞、陪審員3番を演じた 「12人の怒れる男」
(1997年)
でエミー賞の助演男優賞を受賞した。
TVドラマ 「12人の怒れる男」 (1997年)
ジャック・レモン
(左)と
TVドラマ 「風の行方」 (1999年)
ジャック・レモン(右)と
・シャロン・ストーン主演の 『グロリア』
(1999年/監督:
シドニー・ルメット
)
が最後の劇場用映画、ジャック・レモンと共演したTVドラマ 「風の行方」
(1999年)
が遺作となった。 「風の行方」は、 ブロードウェイ劇 「風の遺産」
(1996年)
と同じ作品。「モンキー裁判」 を題材とした作品で、
スタンリー・クレイマー
監督によって映画化
(1960年)
もされた。ジョージ・C・スコットは舞台では弁護士役、TVドラマでは検事役を演じた。
・私生活では、4人の女性と5度結婚した。2度結婚・離婚した相手は女優のコリーン・デューハースト。彼女と夫婦で共演した 『ラスト・ラン / 殺しの一匹狼』
(1971年)
に出演していたトリッシュ・ヴァン・ディヴァーが5度目の結婚相手。トリッシュとは 『イルカの日』、『チェンジリング』 等でも共演し、彼が亡くなるまで連れ添った。
(左の写真) トリッシュ・ヴァン・ディヴァーと
・
1999年
、
71歳
で他界。ブロードウェイの各劇場では、名優を追悼するために数分間消灯された。
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