20世紀・シネマ・パラダ イス
マルクス兄 弟
Marx Brothers
(アメリカ)
◆
ナンセンス・ギャグで一世を風靡
長男
チコ
Chico
(1887-1961)
次男
ハーポ
Harpo
(1888-1964)
三男
グルーチョ
Groucho
(1890-1977)
五男
ゼッポ
Zeppo
(1901-1979)
注) 四男
ガンモ
Gummo
(1892-1977) … 映画未出演
・ニューヨークにて、ユダヤ系ドイツ移民の両親の子として生れた。母親の
ミニー
が、チコにはピアノ
(指一本での演奏)
、ハーポにはハープを習わせた。家庭が貧しかったため、学校を中退して兄弟でボードビルの舞台に立つようになった。当初は音楽中心の舞台だったが、やがて喜劇メインの舞台に。四男のガンモも舞台に出演していたが、第1次世界大戦中に従軍し、代りにゼッポが加わった。
・サイレント期に1本だけ、短編『
Humor Risk
』
(1921年)
に出演し たが、フィルムが消失してしまった。
・舞台「
I'll Say She is
」
(1924年〜)
でブロードウェイ・デ ビュー。次作の「ココナッツ」
(1925年〜)
、「けだもの組合」
(1928年〜)
がロングラン・ヒットとなり、兄弟の人気に目をつけたパラマウント社と映画出演の契約を交わした。
・『ココナッツ』
(1929年)
で本 格的に銀幕デビュー。以後、『けだもの組合』
(1930年)
、『いんちき商売』
(1931年)
、『御冗談でショ』
(1932年)
とヒット作を連発。ナンセンス・ギャグで一世を風靡した。
(右の写真)『ココナッツ』
・5作目の
『我輩はカモである』
(1933年/監督:
レオ・マッケ リー
)
は、現在では彼らの最高傑作とされているが、公開当時は興行的に振るわず、パラマウント社での最後の出演作となった。
ゼッポは同作を最後に脱退し、タレント・エージェント会社を設立した。
(左の写真)『我輩はカモである』
・MGM社に移籍。以前よりもストーリーを重視した『オペラは踊る』
(1935年/監督:
サム・ウッド
)、
『マルクス一番 乗り』
(1937年/監督:サム・ウッド)
が大ヒット。
RKO社で『ルーム・サービス』
(1938年)
に出演後、再びMGM社と契約し、『マルクス兄弟 珍サーカス』
(1939年)
、『マルクスの二挺拳銃』
(1940年)
、『マルクス兄弟デパート騒動』
(1941年)
の3作品に出演したが、興行成績が伸び悩み、一旦銀幕から遠ざかることになった。
(右の写真)『オペラは踊る』
・
『カサブランカ』
(1942年)
のパロディ、『マルクス捕物帖』
(1946年)
で 5年ぶりに銀幕復帰。
ギャンブル依存症だったチコが自己破産し、お金を稼ぐ為に兄弟が揃ったとも言われている。
(左の写真) 『マルクス捕物帖』
・
メアリー・ピックフォード
が プロデュースした『ラブ・ハッピー』
(1949年)
が、マルクス兄弟が主演の最後の映画となった。
元々、ハーポだけが出演する予定だったこともあり、グルーチョの出演シーンは少なく、彼はマルクス兄弟の映画とは認めていなかったという。駆け出しの
マリリン・モンロー
が端役で出演している。
(右の写真)『ラブ・ハッピー』 グルーチョとマリリン・モンロー
・
ロナルド・コールマン
主 演の『
The Story of Mankind
』
(1957年)
に出演。マルクス兄弟が揃って出演した最後の劇場用映画となった。
(左の写真)『
The Story of Mankind
』
マルクス兄妹とロナルド・コールマン(右)
・1961年、長男チコが74歳で他界。
・
1964年、次男ハーポが75歳で他界。
・1970年、母親のミニーを題材とした劇「
Minnie's Boys
」がブロードウェイで上演され、
シェリー・ウィンタース
がミニー役務めた。
・1974年、グルーチョにアカデミー賞名誉賞が贈呈された。
授賞式のスピーチでは、チコとハーポ、母親ミニーの他に、数多くの作品で共演した女優のマーガレット・デュモン、私生活での最後のパートナーだった女優 のエリン・フレミングの名前を挙げて感謝した。
アカデミー賞名誉賞を贈呈されるグルーチョ。プレゼンターは
ジャック・レモン
グルーチョが「5人目のマルクス兄妹」と評した
マーガレット・デュモン(右)と
グルーチョとエリン・フレ ミング
・英国のロック・バンドQUUENが、マルクス兄弟の映画と同じタイトルのアルバムをリリース。QUUENのメンバーがグルーチョを表敬訪問し、彼らのゴールド・ディスクを贈呈した。
*
「
A Night at the Opera
」
映画 『オペラは踊る』
アルバム 『オペラ座の夜』
*
「
A Day at the Races
」
映画 『マルクス一番乗り』
アルバム 『華麗なるレース』
(上の写真)左から、
ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、グルーチョ、フレディ・マーキュリー
・1977年、四男ガンモが84歳で他界。約4ケ月後、三男グルーチョが86歳で他界。
・1979年、五男ゼッポが78歳で他界。
!
『風と共に去りぬ』
の原作者マーガレット・ミッチェルが、マルクス兄弟の大ファンで、レット・バトラー役にグルーチョを希望していたという話もある。
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