20世紀・シネマ・パラダ イス

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Casablanca

       カサブランカ
        Casablanca
         監督:マ イケル・カーティス
        (1943年/アメリカ)
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  映画史に燦然と輝く不朽のラヴ・ストーリー

 第2次 世界大戦中、ドイツに占領されたパリから多くの市民が中立国ポルトガルのリスボン経由でアメリカへ逃れ ていたが、中継地であるフランス領モロッコの都市カサブランカには、金やコネが無く、出国 ビザを入手できない多くの避難民が滞在していた…。

 1941年12月。親ドイツのヴィシー政権下のカサブランカ。ド イツの連絡員2名が殺害さ れ、ビザを所持してない避難民が容疑者として次々と検挙されている最中、当地の警察署長ル ノーは、ドイツ軍のシュトラッサー少 佐出迎えていた。 Casablanca-1

 酒場の経営者リック・ブレインは、 避難民の出国ビザや密航の手配をする闇屋のウガーテからドイツ軍が発行した通行許可証の保管を 頼まれた。殺された連絡員が所持していた書類であ る。
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 リックは通行証を店のピアニスト兼歌手のサムの ピアノの中に隠した。アメリカ人のリックは誰にも心を開かない孤立主義を通していた。
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Casablanca-5  リックに惚れて いる女 「昨夜はどこに?」。
 リック 「もう忘れたよ」。
 女 「今夜会える?」。
 リック 「先のことは分からない」。

 リックの店は避難民や闇屋の溜り場となっており、連絡員殺しの犯人が現れると踏んだルノー 署長が待機していた。

 ルノー署長は、ナチスの強制収容所から脱走した地下組織(レジス タンス)の大物ヴィクトル・ラズロが 通行証を入手するために現れるだろうとの情報を明かし、かつてスペイン内戦で反ファシズム派に協力したリックに、 ラズロには助力するなと忠告した。 Casablanca-6

 ウガーテが連絡員殺しの犯人としてフランス警察に逮捕された。
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 ウガーテが逮捕された事を知らないラズロがリックの店に現れ た。
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 ラズロが地下組織の男と接触しているところへ、ルノー署長が挨拶に来た。ラズロの同伴の女 性イルザ・ラントは、顔見知りのサムの事を訊ね、ここがリックの店であるこ とを知った。
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Casablanca-12  ラズロとイルザのテーブルにシュトラッサー少佐も現れ、2人に警 察署への出頭を要請した。

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 イルザはテーブルにサムを呼んだ。「あれを弾いて、サム。“時の過ぎ行くままに”を」。
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 店に戻ってきたリックは、禁じている曲をサムが歌っているのに気づき、演奏を止めに入っ た。かつて恋人同士であったリックとイルザは、パリ占領の日以来となる再会を果たした。
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 『カサブランカ』 予告編



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 主な出演 者など

リック・ブレイン役
イルザ・ラント役
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ハンフリー・ボガート
イ ングリッド・バーグマン

ヴィクトル・ラズロ役 ルノー署長役 シュトラッサー少佐役
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ポール・ヘンリード クロード・レインズ コンラート・ファイト

フェラーリ役 サム役 ウガーテ役
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シドニー・グリーンストリート ドーリー・ウィルソン ピーター・ローレ

 ・1942年1月、ワーナー・ブラザーズ社に在籍していた製作者のハル・B・ウォリスが、ストーリー・スカウトのアイリー ン・ダ イアモンドの薦めで、未発表の戯曲「Everybody Comes to Rick's(マリー・ バーネットとジョーン・アリスンの共著)の映画化権を取得。双子の兄弟ジュリアス・J・エプスタインとフィリップ・G・エプスタインに脚色 を依頼した。
 * エプスタイン兄弟 … 『いちごブロンド』(1941年/監督:ラオール・ウォルシュ)、『毒薬と老嬢』 (1944年/監督:フランク・キャプラ)等の脚本を執筆。
 (右の写真)ハンフリー・ボガート
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Casablanca-58  ・エプスタイン兄弟が、陸軍でプロパガンダ映画『Why We Fight』 シリーズを監督していたフランク・キャプラに引き抜かれてしまった間は、ハ ワード・コッチが代わりに脚本を執筆した。

 ・監督には、ウォリスが念頭に置いていたウィリアム・ワイラーが陸軍航空隊に入隊 し たため、旧知の間柄のマイケル・カーティスが起用された。
 (左の写真)左から、ポール・ヘンリード、イングリッド・バーグマン、ハンフリー・ボガート

 ・リック役は、ロナルド・レーガンやジョージ・ラフトが候補だったとの説がある。ジョージ・ラフトは、ボギーの出世作 となった『ハイ・シェラ』、『マルタの鷹』(1941年/2作ともハル・B・ウォリス製作)の主役を辞退 しているが、『カサブランカ』も辞退したという説が本当ならば、ボギーのファンならずともラフトに感謝したくなる。 Casablanca-48

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 ・イルザ役は、アン・シェリダン、ヘ ディ・ラマーの名前も挙がっていた。また、当時、フランスから逃れていた人気女優ミ シェル・モルガンも有力候補だっ たが、彼女と契約していたRKO社が、ワーナー・ブラザース社に要求した金額が高額だったためNGとなった。
 イングリッド・バーグマンは身長175cmで、ボギーよりも背が高かったため、2人が並ぶシーンでは、ボギーはシークレット・シューズを履いていた。

 ・監督のマイケル・カーティスはハンガリー人。主要キャストの内、アメリカ人はハンフ リー・ボガートと ドーリー・ウィルソンの2人だけという国際色豊かな顔ぶれとなった。
 (右の写真)右から時計回りに、ポール・ヘンリード、イングリッド・バーグマン、ハンフ リー・ボガート、クロード・レインズ
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 ・1942年5月25日に撮影がスタートしたが、脚本が未完成だった。
Casablanca-55  特にラストは、ハル・B・ウォリスと脚本家の意見が分かれ、最後まで決まらない ままだったという。バーグマンが、「イルザはリックとラズロのどちらと結ばれるの?」 と質問したところ、カーティス監督から、「決まっていなので数パターン撮影する」 と返ってきたので、バーグマンはやる気を失くしたとの伝説が残っている。
 (左の写真)イングリッド・バーグマンとマイケル・カーティス監督

 ・1942年8月3日に撮影が終了。同年11月26日にニューヨークでプレミア公開され、 翌年1月に全米で公開された。
 日本では戦後の1946年(昭和21年)に公開。イングリッド・バーグマンが日本のファンに初お目見 えとなった作品でもある。
 (左の写真)左から、ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、マイケル・カーティス監督
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 ・アカデミー賞(1943年度)で は、作品、主演男優、助演男優 (クロード・レインズ)、監督、脚色、撮影(白黒部門)、編集、劇・喜劇映画音楽(マックス・スタイナー)の 8部門でノミネートされ、作品賞、監督賞、脚色賞の3部門で受賞。ハル・B・ウォリスにはアービング・G・タルバーグ賞が贈呈された。
 (左の写真)左から、マイケル・カーティス監督、ジャック・L・ワーナー、ハル・B・ウォリス、ジャック・ベニー(司会者)、ハ ワード・コッチ(脚本家)

 ・撮影時の混乱ぶりから失敗作だと思っていたイングリッド・バーグマンは、アカデミー賞で 作品賞を受賞したと知ると、「あんな作品が?」と驚いたという。ちなみに、バーグマンは『誰が為に鐘は鳴る』で主演女優賞の候補となっていた。
 
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Casablanca-59  ・1998年、AFI(アメリカ映画協会)が選定した 「アメリカ映画100年ベスト100」で第2位に選出。

 ・2005年、AFI(アメリカ映画協会)が選定した 「アメリカ映画名セリフ ベスト100」で、以下のセリフがランクイン。

 <第5位>「Here's looking at you, kid. 〜 君の瞳に乾杯

 <第20位>「Louis, I think this is the beginning of a beautiful friendship. 〜 ルイ、美しい友情の始まりだな

 <第28位>「Play it, Sam. Play ‟As Time Goes By” 〜 あれを弾いて、サム。‟時の過ぎ行くままに”を

 <第32位>「Round up the usual suspects. 〜 犯人を捜せ
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 <第43位>「We'll always have Paris. 〜 俺達にはパリの想い出がある

 <第67位>「Of all the gin joints in the towns in the world, she walks into mine. 〜 世界に星の数ほど店はあるのに、彼女は俺の店にやって来た

 ・2006年、アメリカの脚本家組合が選定した「偉大な脚本歴代ベスト101」で第1位 に。 Casablanca-73

< 主題歌 「時の過ぎ行くままに」 >

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