20世紀・シネマ・パラダ
イス
◆ ヒッチ
コック監督最大のヒット作
カメラマンのジェフは足を骨折
して身動きが取れず、この6週間、退屈しのぎに窓から近隣の住民たちの暮らしぶりを眺めていた。 |
夕方。恋人のリサが訪ねて来
た。リサは、ジェフがスタジオを持って1つ所に落ち着くことを望んでいる。ジェフは報道カメラマンとして世界中を飛び回る仕事を辞める気が無く、その事で
口論となってしまった。 |
リサが帰った後、ジェフは車椅子で寝てしまい、夜中に目を覚ました。窓の外を見ると、雨が
降る中、向いの建物に住む男性が大きな鞄を持って何度も出入りしてた。 |
翌日。ジェフは向いの男性の行動を不審に思い、望遠レンズで覗いて見た。す
ると、男性はキッチンで肉切り包丁やノコギリを洗っていた…。 |
リサは、ジェフが他人の家を覗き見てあれこれ詮索するのを咎めた。しかし、病気で寝たきり
だった男性の妻がいなくなっているのが判ると、ジェフと同様に不審に思うようになった。リサが帰りがけに表札を見て、男性の名前はラーズ・ソーワルドだと判った。
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3日目。ジェフは友人のドイル
刑事を呼び出し、ソーワルドの事を調べるよう依頼した。その結果、ソーワルドは前日の朝6時、ジェフが寝ていた時間に妻を駅まで送り届け
ていたことが判った。
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リサは女性特有の心理で、駅に行った女性はソーワルドの妻ではないと推理したが、ドイル刑
事は相手にしなかった。
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ジェフとリサが自分達の推理が間違っていたと思い直した矢先、向いの建物の住民の飼い犬
が何者かに殺され、ジェフはソーワルドの仕業だと確信した。
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4日目。ジェフは犬が殺された理由を突き止めた。ソーワルドの花壇を掘り返
したからだ。
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ソーワルドが荷物をまとめ、部屋を引き払おうとしている。「彼女に何をした」。
ジェフが書いたメモをリサが届け、ソーワルドを引き留めた。
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花壇を掘り返せば殺人の証拠が出てくるかもしれない。ジェフが電話でソーワルドをホテルに
おびき出し、リサと看護婦のステラが花壇に向かった。
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花壇からは何も出てこなかった。すると、リサが梯子階段を登り、窓からソーワルドの部屋に
侵入してしまった…。
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ソーワルドがホテルから帰って来て、リサは見つかってしまった。絶体絶命のリサ…。
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『裏窓』 予告編
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◆ 主な出演者など
・コーネル・ウールリッチの短編小説「それは殺人でなければならない」(1942年)をベースにした作品。
ヒッチコック監督の前作『ダイヤルMを廻せ!』が公開されてから僅か64日後に公開された。
(右の写真)左から、グレース・ケリー、ヒッチコック監督、ジェームズ・ステュアート
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・パラマウント社のスタジオに同社史上最大(当時)の
セットが作られた。床を取り除き、地下の大道具倉庫まで使用したというセットは、雨のシーンもある為、排水等
もしっかりと計算された上で作られた。
撮影時、ヒッチコック監督は主人公ジェフの部屋から指示を出し、向いの建物の俳優陣はイヤホンで監督の声を聞きとっていた。 |
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『裏
窓』のセット
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ヒッ
チコック監督(左)、ジェームズ・ステュアート(奥)、
カメラマンのロバート・バークス(右) |
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・ジェームズ・ステュアートは『ロープ』(1948
年)以来、グレース・ケリーは『ダイヤルMを廻せ!』に引き続いてのヒッチコック監督作品だった。ファッション・モデル役のグレース・ケ
リーが着用したドレスをデザインしたのはイーディス・ヘッ
ド。2人は私生活でも固い友情で結ばれた。
(左の写真)左から、ジェームズ・ステュアート、グレース・ケリー、ヒッチコック監督 |
・作品は、その年最大のヒット作、ヒッチコック監督のキャリアで最大のヒット作となった。
アカデミー賞では、監督賞、脚色賞、撮影賞(カラー部門)、録音賞の4部門でノミネートされたが受賞は
逃した。同年、グレース・ケリーは『喝采』の演技で主演女優を受賞した。
(右の写真)『裏窓』
プレミア試写会時。左から、ヒッチコック監督、グレース・ケリー、ジェームズ・ステュアート |
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・AFI(アメリカ映画協会)が選定した「アメリカ映画100年ベスト100」(1998年選定)で第42位、「ドキドキはらはらベスト100」(2001年選
定)で第14位、「ジャンル別ベスト10/ミステリー部門」(2008年)で第3位にラン
クイン。 |
・1998年、TVドラマとしてリメイクされ、落馬事故により首から下が麻痺していた
『スーパーマン』(1978年)のクリストファー・リーヴが主人公を演じた。
(右の写真)TV「裏窓」。クリストファー・リーヴ、ダリル・ハンナ |
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◆ ヒッチコック監督 お約束のカメオ出
演シーン
・25分頃、作曲家の部屋で時計のネジを巻く男として登場。
(右の写真)ヒッチコック監督の出演シーン
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◆ ピック・アップ … セルマ・リッター
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Thelma Ritter
1902-1969 (アメリカ)
・1902年、ニューヨーク生れ。子供の頃からアマチュア劇団の舞台に出演し、高校卒業後、アメリカン演劇アカデミーで学んだ後、プロの
役者としてデビュー。1927年に結婚して2児を授かり、子育てのために女優業を休止していたが、1940年代にラジオで活動を再開。モー
リン・オハラ主演の『三十四丁目の奇蹟』(1947年)で銀幕デビューしてから名脇役として活躍
した。
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・ブロードウェイ・ミュージカル「New Girl In Town」(1957年)で、共演者のグウェン・ヴァードンと一緒にトニー賞のミュージカル主演女優賞を受賞。
・銀幕デビュー作『三十四丁目の奇蹟』のジョージ・シートン監督が撮った『What's
So Bad About Feeling Good? 』(1968年)が遺作となっ
た。
・1969年、66歳で他界。
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