20世紀・シネマ・パラダ
イス


◆ 名匠ウィリアム・ワイラーの大作西部劇
船乗りだった東部の男ジム・マッケイが、
牧場主の娘パット・テリルと結婚するためにテキサス州にやって来た。ジムは牧童頭のスティーブに案内され、友人のジュリーの家に
立ち寄っていたパットと再会した。 |
ジムとパットは彼女の自宅へ向かう途中で、テリル牧場と敵対しているヘネシー牧場の長男バックたちと出くわした。ジムは彼等から手荒な仕打ちを受けたが相手にしなかった。「海の世界でも
ある…、新顔への挨拶さ」。 |
翌朝。ジムがバックたちにやられっぱなしだったことが皆に知れ渡っていた。パットを慕って
いるスティービがジムに荒馬をあてがい、嫌がらせだと察したジムが乗馬を取り止めるという一幕もあった。
パットの父親ヘンリーが、ジムが受けた侮辱への仕返しをするため、牧童たちを引き連れてヘネ
シー牧場に乗り込むことになった。ジムは止めたが、ヘンリーは聞く耳を持たなかった。「名誉を守るのがテキサス人だ」。 |
牧場に残ったジムは荒馬に挑み、ついに乗りこなした。ヘンリーたちは町でバックの仲間を捕
まえてリンチした。 |
テリル家でジムとパットの婚約を祝うパーティーが開催された。そこへ、ヘネシー牧場の主ルーファスが乗り込んできて、ヘンリーを挑発した。両家は水源地を巡って長年敵対していたのだった…。 |
ジムは地図とコンパスを手に水源地の探索に出かけ、その地の所有者であるジュリーと再会した。ジュリーがテリル家とヘネシー家の対立に悩まされていること
を知ったジムは、
自分がこの地の所有者となって牧場を経営すれば、両家にも公平に水を与えることを約束し、ジュリーに土地を売ることを決心させた。
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土地に不慣れなジムが1人で出かけたため、テリル牧場の男たちは夜通しでジムの捜索に駆り
出されていた。ジムが戻るとスティーブが喧嘩を売ってきたが、ジムは相手にしなかった。嘘つきの腰抜け呼ばわりされても喧嘩を避けるジムの態度にパットが
憤慨した。ジムは彼女との結婚は無理だと察し、テリル家から出ていくことにした。
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ジムはスティーブを訪ね、他言は無用だと断った上で、喧嘩を買って出た。2人は夜の平原で
延々と殴り合った。
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テリル家がヘネシー家に宣戦布告した。バックたちが牛を連れて水源地へ行くと、待ち構えて
いたスティーブたちが銃を撃って牛を蹴散らした。
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ジムはテキサスから去るつもりでジュリーを訪ねたが、後に残った彼女の苦労を思いやり、こ
の地に残って約束通り水源地を買うことにした。
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パットは、ジムが結婚祝いとして水源地を買うつもりだった事をジュリーから知らされ、より
を戻すためにジムを訪ねた。しかし、ジムが水をヘネシー家にも分け与える考えだと知ると、血相を変えて部屋から出ていった。
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ルーファスがジュリーを家に連れて来させ、水源地を売るように迫った。ジュリーが土地を
売った事を知ったルーファスは、ジムが公平に水を与えると約束をした事を俄かには信じず、ジュリーを軟禁した…。
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『大いなる西部』 予告編
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◆ 主な出演者など
パット・テリル役
キャロル・ベイカー |
ルーファス・ヘネシー役
バール・アイヴス |
ヘンリー・テリル役
チャールズ・ビックフォード |
バック・ヘネシー役
チャック・コナーズ
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・サタデー・イヴニング・ポスト紙に連載された小説の映画権を取得したグレゴリー・ペック
が、『ローマの休日』(1953年)で
組んだウィリアム・ワイラーに監督を要請。ワイラーはペックとの共同製作者にもなったが、2人は撮影中に衝突し、3年後に和解するまでは絶縁状態になって
いたという。撮影中に脚本が度々書き変えられたため、「役作りが困難だった」(ジーン・シモンズ談)と
の声も。
(右の写真)ウィリアム・ワイラー監督、グレゴリー・ペック
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・チャールトン・ヘストンは出演を辞退するつもりだったが、エージェントからペックやワイ
ラーのような大物たちと仕事することは今後のキャリアに役立つとアドバイスされて出演。ワイラー監督の次作『ベ
ン・ハー』(1959年)で主役に起用され、アカデミー賞主演男優賞を受賞することに繋がった。
(左の写真)ウィリアム・ワイラー監督(右端)とメイン・キャストたち
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・バール・アイヴスがアカデミー賞助演男優賞を受賞。フォーク・ソング歌手としてデビュー
し、ブロードウェイの舞台でも活躍。‟赤狩り”のブラック・リストに名前を載せられる
という苦難の時期を乗り越え、『エデンの東』(1955
年)、『熱いトタン屋根の猫』(1958年)等でも名脇役として活躍した。
(右の写真)バール・アイヴス。オスカー像を手に。
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・当時の大統領アイゼンハワーが本作を大変気に入り、ホワイトハウスで4日連続上映会を開
催した。
(左の写真)左から、バール・アイヴス、チャック・コナーズ、チャーズル・ビックフォード、アルフォンソ・ベドヤ(ラ
モン役。本作撮影後に心臓発作で他界)、グレゴリー・ペック、チャールトン・ヘストン
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◆ ピックアップ … キャロル・ベイカー
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Carroll Baker 1931〜
(アメリカ)
・ペンシルベニア州生れ。18歳の時にフロリダ州に引っ越し、セントピーターズバーグ短期大学に入学。在学中、フロリダ産の果物と野菜をPRする美人コ
ンテストで優勝した。
・俳優を志し、ニューヨークへ。テレビCM等に出演しながらアクターズ・ズタ
ジオで演技を学んだ。
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・1953年に銀幕デビュー。『ジャイアン
ツ』(1956年)で注目を集め、次作の『ベビイドール』(1956
年/監督:エリア・カザン)で
アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。
(右の写真)『ベビイドール』
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・ジーン・ハーローに扮
した主演作
『ハーロー』(1965年)の興行不振、映画会社との契約上のトラブル、2度目の結婚生活の破綻(1969年に離婚成立)等が重なり、1967年から約10年間、イタリアを拠点に活動。お色気を売りにした作品に
も出演した。
(左の写真)『ハーロー』
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